月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】日本保熱工業(株)

2013年4月25日更新

1.会社概要、倒産経緯

1939年11月に設立。東京都港区に本社を構え、製鉄の炉などに使われる耐火煉瓦の販売代理店で炉の建設や補修工事を行なっていた。2008/10期の年商ピーク時には、約5億800万円の売上高を計上していたが、過去より採算性は低く、赤字も散発しており、2005/10期時点において既に債務超過に陥っていた。2009年頃より鉄鋼業界などの設備投資抑制の影響で受注減を余儀なくされる中、一応の黒字を捻出していたものの、資金繰りの変化は避けられず支払不能に陥ったことから今回の措置に至った。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
配当自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
現預金
回転期間
(ヵ月)
運転資金
回転期間
(ヵ月)
2012/10 113.4 2.1 0.1 0.1 ▲26.0 16.9 178.3 0.5 4.5
2011/10 136.5 7.1 ▲0.7 ▲0.8 ▲23.9 13.8 194.9 0.6 0.6
2010/10 113.9 2.7 ▲0.1 0.2 ▲25.7 15.0 177.6 1.2 ▲1.6
2009/10 171.4 ▲15.7 ▲18.7 ▲18.2 ▲22.2 11.8 206.3 0.6 2.7
2008/10 508.3 3.9 0.6 0.6 ▲8.7 3.9 318.3 0.4 1.3
2007/10 357.2 - - 0.6 - - - - - -
2006/10 344.0 - - 0.4 ▲15.4 - - - -
2005/10 236.1 - - 0.3 ▲15.8 - - - -
2004/10 208.3 - - 0.3 - - - - -
2003/10 314.2 - - 0.9 - - - - -

コメント

・2008/10期をピークに売上高は急落しており、2012/10期においてはピーク時から77.7%減となっている。

・最終利益においては、一応の黒字を計上した期も見受けられるが、利益率は0.1%程度であり低位。また、過去より赤字を散発していたことから、自己資本が棄損し、長期にわたって債務超過状態が続いていた。

・資金繰りは、借入に大きく依存せざるを得ない状況であった中で、収支が改善されずに資金繰り逼迫状態が続いていたことが考えられる。

3.データの分析

・本ケースの特徴として、「現預金回転期間」及び「運転資金回転期間」に注目した。

・当社の現預金は2010/10期1,100万円→2011/10期650万円→2012/10期460万円と毎期減少していることが見てとれる。

・現預金減少の原因としては、業績悪化及び収益力の脆弱性等が挙げられる。また、過去の赤字散発により債務超過に陥っており、多額の棚卸資産計上なども考慮すれば、財政状態はきわめて厳しい状態にあったといえる。

・かかる状況下で、周辺企業からの与信は減少し、更なる受注減少及び支払条件の短縮化などを招いていたことが推測される。

・また、運転資金回転期間の推移を見れば、支払条件の短縮化が運転資金需要に大きな影響を与えていたことを読み取ることができ、運転資金の調達に伴い借入への依存体質が一層強まり、資金繰り逼迫に拍車をかけたものと考えることができる。

・以下の表は、「現預金回転期間」及び「運転資金回転期間」に関する倒産確率を示したものであり、この結果からも、指標が倒産分析に有効であるといえよう。

○現預金回転期間(集計期間:2011/10~2012/09)・・・2012/10期 0.5ヵ月
現預金回転期間全体0.2ヵ月未満0.2ヵ月~0.4ヵ月0.4ヵ月~0.8ヵ月0.8ヵ月以上
倒産倍率 1.00倍 1.19倍 1.44倍 1.16倍 1.04倍
○運転資金回転期間(集計期間:2011/4~2012/3) ・・・ 2012/10期 4.5ヵ月
運転資金回転期間全体1ヵ月未満1ヵ月~2ヵ月2ヵ月~3ヵ月3ヵ月以上
倒産倍率 1.00倍 0.83倍 0.64倍 1.30倍 2.04倍

4.総評 

・本ケースは、業績悪化による信用力低下が取引条件の悪化を招き、資金繰り破綻に至ったケースである。

・収支面においては、急激な減収が見られる中、利益水準も低位な状態が続き、業況が芳しくない状態にあることは明白であったが、さらに資金繰りへの影響を考慮すれば、運転資金需要が高まる中で資金調達余力は乏しく、逼迫状態にあったことは容易に想像できる。

・従前から繰り返し報告しているポイントではあるが、収支と財政の両面から分析することで一層確度の高い倒産予知が可能となる、という点が色濃く示されているケースといえよう。

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