月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】大和商事(株)

2013年11月22日更新

1.会社概要、倒産経緯

・1948年設立の液化石油ガス(以下、LPG)の卸売業者。全国に先駆けてLPGの販売を開始し、石油製品や住宅設備機器など、扱い品は多岐に渡っていた。
・営業拠点を複数展開して業容を拡大させ、ピーク時の2008/3期には、約52億円の売上高までに成長。しかし、事業拡大の一方で多額の不良在庫を抱え、翌年度には、在庫評価損計上から約4億円の赤字に転落。
・金融機関主導の経営改善計画において、不採算部門のガソリンスタンドを1店舗まで縮小、LPGの営業所を取引先へ譲渡するなどの効率化を進めるも、2013/3期に再び在庫評価損計上から債務超過に陥った。
・その後も住宅設備機器部門の縮小を図ったが、過去の設備投資負担が収益を圧迫し、資金繰りが破綻したことから、今回の措置となった。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
借入依存度(%)
2013/3 2,705.1 46.2 24.9 ▲405.5 ▲11.0 8.5 2,032.3 94.4
2012/3 2,955.6 72.6 30.9 20.4 7.3 7.9 2,506.9 77.9
2011/3 3,216.2 99.8 56.8 44.2 6.3 7.3 2,559.4 76.9
2010/3 3,317.6 99.7 37.7 34.6 4.6 7.1 2,559.3 77.0
2009/3 4,910.6 ▲212.2 ▲247.3 ▲375.3 3.2 5.1 2,638.4 78.4
2008/3 5,226.0 79.3 32.1 14.7 13.8 5.3 3,321.5 70.0
2007/3 4,827.1 63.7 25.6 14.9 13.8 5.3 3,226.4 66.2
2006/3 4,910.2 71.4 40.4 14.8 13.6 5.4 3,040.4 68.7
2005/3 4,025.0 73.3 40.1 14.6 13.8 6.2 3,201.6 68.5
2004/3 3,705.1 83.4 50.5 14.9 13.8 6.4 2,944.6 66.7

コメント

・ピーク時の2008/3期まで増収基調で推移してたが、その後は業容の縮小に歯止めがかからない状態であった。
・2009/3期以降、自己資本比率は、業界平均を大幅に下回り、10%以下の低水準であった。
・借入金に対する依存度は年々高まり、返済年月は長期化、借入利息の負担が収益を圧迫していた。

3.データの分析

・本ケースの特徴として、「借入金月商比」及び「借入依存度」に注目した。
・借入金月商比においては、2009/3期以降、業容の縮小に伴って数値が減少基調にあり、借入規模と事業規模のバランスが悪化していることが見受けられる。
・斯業界においては、ガスセンターの保有、施設のメンテナンス、タンクローリー購入など、相応の設備投資が必要とされることが特性として挙げられるが、一方で、借入依存度の業界平均としては、30~40%と決して高い水準でない。かかる中で、当社の借入依存度は従来から60%を超える高い水準で推移しており、設備投資が財政面において大きな負担になっていたことがうかがえる。

・下表は、各データの倒産確率を集計したものである。この結果からも当指標が倒産分析に有効であるといえよう。

○借入月商比(集計期間:2012/10~2013/9) 2013/3期 8.5ヵ月
借入月商比全体3ヵ月未満3ヵ月~6ヵ月未満6ヵ月~9ヵ月未満6ヵ月~12ヵ月未満12ヵ月以上
倒産倍率 1.00倍 0.59倍 0.96倍 1.50倍 1.85倍 2.29倍
○借入依存度(集計期間:2012/10~2013/9) 2013/3期 94.4%
借入依存度全体無借金0%~30%未満30%~60%未満60%~80%未満80%以上
倒産倍率 1.00倍 0.75倍 0.53倍 0.89倍 1.50倍 2.06倍

4.総評

・LPGの国内相場は、高止まりした輸入価格(仕入値)が、販売価格に転嫁され、価格が高騰している。そのため、電力・都市ガスとの競合関係において、国内需要が奪われ、市場は縮小の傾向にある。
・本件は、市場が縮小する中で、業容の拡大を図るべく、ガスセンターの設立など積極的な設備投資を行ってきたが、投資効果に見合った売上を獲得するには至らず、借入負担が資金繰りを圧迫し、倒産に至ったケースである。
・所謂装置産業においては、売上の維持・拡大のために設備投資が必須条件となりうるが、設備投資に対して十分な効果が得られない場合は、その投資負担は資金繰りに直結することから、多額の設備投資を実施している企業については、その生産性について十分に検証することが倒産予知に繋がるものと考えられよう。

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