月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】㈱ワールドストリーム

2015年4月30日更新

1.会社概要、倒産経緯

1987年設立の旅行業者。「リバティーツアー」のブランドで主催旅行のホールセール販売のほか、航空券販売などを行うヨーロッパ旅行専門店として業績を伸ばしていた。
しかしながら、リーマンショック以降の需要減を主因として、2009年頃より企画旅行から旅行代理業務へと業態を変更したことから、採算性の悪化が進んでいた。かかる中、2011年の東日本大震災の発生により、業績の低迷に一層拍車がかかった。業績低迷を受け2013/4には、主要取引先との業務提携によって一部事業を移管、同年5月には旅行業登録を第1種から第3種に変更した。旅行業登録の変更により、手数料収入が収益の中心となったことから採算性が悪化、赤字決算を余儀なくされて資金繰りが逼迫し、今回の措置に至った。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
増減収率
(5期平均)
(%)
借入
依存度
(%)
2014/9 5,274.0 ▲22.2 ▲32.7 ▲32.1 16.4 2.0 1,076.3 ▲42.1 83.2
2013/9 3,596.3 ▲22.4 ▲33.4 ▲34.6 16.8 3.2 1,244.4 ▲67.4 76.9
2012/9 7,067.7 32.1 22.2 15.9 18.9 1.8 1,290.8 ▲46.4 79.8
2011/9 14,489.6 35.5 20.6 5.7 13.2 1.0 1,722.7 ▲0.6 72.0
2010/9 15,111.0 31.5 25.7 10.7 12.7 0.9 1,750.5 3.7 61.1
2009/9 14,925.1 11.3 11.4 7.0 11.2 0.8 1,867.6 4.6 50.5
2008/9 14,310.8 56.1 49.7 28.4 12.6 0.5 1,807.2 3.8 34.9
2007/9 14,012.8 66.3 55.1 33.0 11.4 0.5 2,000.5 5.6 28.8
2006/9 14,519.6 53.4 44.6 29.5 8.4 0.5 2,657.3 - 21.6
2005/9 13,545.4 46.5 41.0 24.3 13.2 0.5 1,626.0 - 34.2

コメント

・リーマンショック以降の2009/9期より、徐々に利益率の低下と借入負担の増加がみられる。
・2012/9期から大幅な減収で推移し、2013/9期には営業利益の段階から赤字に転落した。
・2014/9期には売上は大幅に回復したものの、連続赤字となっていた。

3.データの分析

・本ケースを分析する財務指標として、「増減収率(5期平均比)」および「借入依存度」に注目した。
・2010/9期~2014/9期の5期分の平均売上高と、2014/9期の売上高を比較すると、42.1%の減少と急激な業績の悪化が見受けられる。これは東日本大震災の影響と代理店業務への変更に伴う事業縮小によるものと考えられる。また、急激な減収が資金繰りを圧迫したものと推測される。
・当該企業の粗利益(1.3%)は業界標準(22.7%)に比してきわめて低い。その他にも、買掛債務が計上されていないなど、実態に不透明な点が多いが、売掛債権が運転資金需要の要素となっていたために、資金を金融調達せざるを得ず、借入過多状態に陥っていたものと考えられる。
・下表は、「増減収率(5期平均比)」及び「借入依存度」の倒産倍率を集計したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であるといえよう。

○増減収率(5期平均比)(集計期間:2013/4~2014/3)・・・2014/9期 42.1%減収
増減収率(5期平均比)▲30%未満▲30~▲10%▲10~+5%+5%以上全体
倒産倍率 3.28倍 1.44倍 0.73倍 0.35倍 1.00倍
○借入依存度(集計期間:2014/4~2015/3)・・・2014/9期 83.2%
借入依存度全体無借金0~50%50~80%80%以上
倒産倍率 1.00倍 0.76倍 0.53倍 1.01倍 2.26倍

4.総評

・本件は、リーマンショックや東日本大震災などの影響を受け、代理店業務に事業を縮小せざるを得ない状況に陥ったことで、大幅な減収及び採算性の悪化を余儀なくされ、資金繰りが破綻したケースである。
・中小規模の旅行会社は、代理店業務などの手数料収入が中心となるため、収益性が乏しい。また、社会的な出来事や国際情勢が市場へ及ぼす影響が大きく、不況や大災害の度に旅行者数が激減するなど、非常に不安定な業界である。
・さらに、当該企業は、収益力が極めて低く、内部留保の蓄積が進まない中、借入による資金調達をせざるを得ない状況にあったことから借入依存度が高まるなど、財務の脆弱化が進んでいた。
・本ケースは、斯業界の特徴である採算性の低さと、旅行者数の減少を及ぼす景気動向や大災害の発生に注目することで、決算書の数字の変動に気付くことができた案件といえよう。

PDFダウンロード

※PDFファイルをご覧いただくためには、Adobe Reader(無償)が必要です。Adobe Readerのダウンロードページよりダウンロードが可能です。

前のページへ戻る

エンタメコンテンツ 企業なんでも診断 婚活スカウター 最新情報はこちら
RMI情報 twitter
Pagetop