月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】渡辺鉄工(株)

2015年7月31日更新

1.会社概要、倒産経緯

・1946年創業の製缶・配管工事業。化学プラントに付帯する下水処理設備関連の製缶業・溶接工事などを手掛ける。
・大手機械メーカー・エンジニアリング会社などに販路を形成し、ピーク時の売上は約10億円に達していたが、リーマンショック以降は受注が減少し、業績は後退を余儀なくされていた。
・その後も業績の改善には至らず、さらに悪化傾向で推移したことで、資金繰りも悪化。収益面や資金繰りの改善に至らず、再建のめども立たないことから今回の措置となった。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
減価償却
実施額
(千円)
借入
依存度
(%)
2013/5 304.5 ▲52.1 ▲43.5 ▲43.2 24.4 17.2 651.9 0 66.8
2012/5 402.1 ▲33.7 ▲32.0 ▲49.7 28.7 13.4 703.8 473 64.0
2011/5 605.1 ▲5.7 ▲4.9 ▲5.4 35.4 7.3 711.8 5,191 51.7
2010/5 662.5 14.5 10.5 4.2 36.9 5.1 696.3 8,484 40.6
2009/5 693.4 3.5 1.2 1.2 38.6 5.0 656.3 - 43.6
2008/5 697.6 30.6 31.1 24.7 32.8 6.2 767.6 - 46.9
2007/5 976.7 - - 43.3 - - - - -
2006/5 765.8 - - 12.7 - - - - -
2005/5 400.0 - - - - - - - -
2004/5 421.3 - - ▲13.7 - - - - -

コメント

・2010/5期までは減収ながら利益は相応に確保していた。
・しかし、2011/5期以降、減収に歯止めがかからず、営業利益段階から赤字に転落するなど、業績が悪化。
・その後も赤字幅は拡大し、収益面は改善されない中、年商を上回る借入の負担が懸念されていた。

3.データの分析

・本ケースを分析する財務指標として、「減価償却実施額」および「借入依存度」に注目した。
・斯業界においては、一定の設備投資を要することから、借入に依存しやすい業種といえるが、当社の借入依存度は業界標準の43.7%を大幅に上回る水準で推移していた。
・当社の減価償却費に目を向けると、年々減少しており2013/5期には0円となっていた。これは当社の設備投資が十分に行われていないことが想定されるが、近年の業績が低調であったこと、借入依存度が高く資金調達余力が乏しかったことなどと合わせて鑑みれば、設備投資のための資金調達がままならず、事業改善の機会を失い、極めて厳しい事業環境に追い込まれていたであろうことを示しているものとも考えられよう。
・下表は「減価償却実施額」及び「借入依存度」の倒産倍率を集計したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であるといえよう。

○減価償却実施額(集計期間:2014/4~2015/3)・・・2013/5期 0円
減価償却
実施額
全体0~1百万円1~5百万円5~50百万円50百万円以上
倒産倍率 1.00倍 1.13倍 0.89倍 0.55倍 0.30倍
○借入依存度(集計期間:2014/4~2015/3)・・・2013/5期 66.8%
借入
依存度
全体0~30%30~60%60~100%100%以上
倒産倍率 1.00倍 0.49倍 0.66倍 1.31倍 2.73倍

4.総評

・本件は、業績の悪化によって資金繰りが困難となり倒産したケースである。
・当社の事業拡大および業績改善には、設備投資が必須となるが、近年は大幅な赤字が続いていたことで、金融機関の与信余力も乏しい状態であったと考えられ、資金調達余力も同様に乏しい状態であったと思料される。
・かかる中においては、新規設備投資が困難であり、したがって収支改善は進まず、さらにCashの創出が困難な状態では、借入返済も十分にできず、そのため、借入依存度は高水準を維持せざるを得ない状況になるであろうと想定できる。
・上記指標において、借入の負担および、新規設備投資の状況を確認し、あわせて収支面の改善との関連に着目すれば、当社の資金繰りが窮するであろうことは想定しやすい。
・また、当社においては、不安情報も散発していた経緯もあり、既述のデータ分析も鑑みると、倒産の予見は容易であったといえよう。

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