月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】(株)美巧

2015年8月28日更新

1.会社概要、倒産経緯

1965年創業の財布や名刺入れ等革製品の卸売業者。「ギラロッシュ」などのブランド品を取扱い、全国の百貨店等に販路を形成。その他、メーカーからOEM受注を行うなどし、2000/6期には、年商30億円を計上していた。その後、事業の拡大を図るも、取引先の業績不振で売上は20億円~30億円で推移。製造を東南アジア等の海外の協力工場に委託していたため、近年は、アベノミクスによる円安により、輸入コストは増加していたものとみられ、表見上は黒字の計上が続いていたが、実態は厳しい収益環境にあったと思料される。消費不況の影響も受け、資金調達が困難となり、今回の措置となった。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
売掛債権
回転期間
(ヵ月)
棚卸資産
回転期間
(ヵ月)
2014/6 2,252.0 113.0 49.0 41.0 43.1 8.9 3,085.0 4.4 3.2
2013/6 2,381.0 74.0 32.0 14.0 43.5 8.0 3,033.0 4.2 3.0
2012/6 2,612.0 81.0 37.0 22.0 42.3 7.7 3,158.0 4.1 3.1
2011/6 2,504.0 - - 12.0 - - - - -
2010/6 2,647.0 - - 23.0 - - - - -
2009/6 2,516.0 - - 18.0 - - - - -
2008/6 2,795.0 - - 28.0 - - - - -
2007/6 3,071.0 - - 64.0 - - - - -
2006/6 2,756.0 - - 61.0 - - - - -
2005/6 2,587.0 - - 29.5 - - - - -

コメント

・売上は増減を繰り返しながら推移し、近年は減収続きであった。当期利益は多少の波はあるものの、毎期黒字を計上していた。
・自己資本比率は決算書上では業界標準を上回る水準で推移する一方、借入過多状態も続いていた。

3.データの分析

・本ケースを分析する財務指標として「売掛債権回転期間」と「棚卸資産回転期間」に注目した。
・2014/6期において、自己資本比率は43.1%(約13億円)と、表見上は十分な財務体力を有している様に見える。
・しかし、その一方で、売掛債権回転期間および棚卸資産回転期間は、業界標準(それぞれ2.3ヵ月、1.7ヵ月)を上回る水準で推移しており、超過分を考慮すると、約6.6億円分は不良債権・在庫や架空債権・在庫の可能性が考えられる。さらに、2014/11月に本社不動産(約7.7億円)を売却しており、売却額によっては、特別損失の発生による自己資本の減少も懸念される。そのため、実質的には、表見上ほどの財務体力はなかったものとみられる。
・下表は、「売掛債権回転期間」と「棚卸資産回転期間」の倒産倍率を集計したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であるといえよう。

○卸売業における売掛債権回転期間(集計期間:2013/10~2014/9)・・・2014/6期 4.4ヵ月
売掛債権回転期間全体0以上1カ月未満1~2カ月2~4カ月4~7カ月7カ月以上
倒産倍率 1.00倍 0.78倍 0.88倍 0.97倍 1.68倍 3.46倍
○卸売業における棚卸資産回転期間(集計期間:2013/10~2014/9) ・・・ 2014/6期 3.2ヵ月
棚卸資産
回転期間
全体0カ月0カ月超~1カ月未満1~3カ月3~7カ月7カ月以上
倒産倍率 1.00倍 1.26倍 0.79倍 1.23倍 1.81倍 3.37倍

4.総評

・上記データ分析のとおり、売掛債権や棚卸資産が業界標準に比して高い水準で推移していた点を考慮すると、不良債権・在庫等の存在や過去に売上および利益の水増しを行っていた恐れが考えられる。
・また、取扱い品や取引先等から円安や消費不況の影響を受けやすく、近年の事業環境は厳しかったと思料される。
・2014/6期において、営業利益は、業界標準1.3%に対し、5.1%の高利益率を確保するなど表見上は良好な状態が伺えるが、貸借対照表の分析や事業環境を鑑みると、決算操作が行われていた恐れがある。
・本件は、業績の動向だけでは、倒産を予測することが難しい案件であるといえ、貸借対照表の分析や事業環境から、当社が置かれている状況を読み取らなければならないケースといえよう。

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