月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】千代田商事(株)

2015年9月25日更新

1.会社概要、倒産経緯

1950年に設立し、作業用ユニフォームの卸売業を展開。ガソリンスタンドを中心にゼネコン、百貨店、官公庁などにも販路を形成、ピーク時の1992/3期には年商47億円を計上した。しかしその後は、主要販売先であるガソリンスタンドの統廃合や市況低迷の影響を受け、減収傾向で推移し、近年の売上高は10億円程度まで減少していた。業況が好転しない中、人員削減など、経営再建に努めたものの、減収に歯止めが掛からず、資金調達が限界に達したことから今回の措置に至った。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
5期平均比
増減収率
(%)
棚卸資産
回転期間
(ヵ月)

2015/3

1,059.8 15.9 3.7 5.2 6.5 6.5 1,148.6 ▲12.5 4.9
2014/3 1,176.6 17.2 3.6 5.0 6.0 6.0 1,157.0 ▲9.0 4.2

2013/3

1,263.8 16.2 5.5 7.0 5.6 5.6 1,172.7 ▲11.7 3.7
2012/3 1,275.0 20.2 9.0 ▲24.4 5.8 5.8 1,169.0 ▲19.1 3.6
2011/3 1,282.6 26.7 11.4 ▲120.9 7.3 7.3 1,368.2 ▲27.0 3.4
2010/3 1,466.3 37.9 13.2 9.8 7.1 7.1 1,544.3 ▲23.5 3.1
2009/3 1,865.0 37.1 13.4 9.1 5.7 5.7 1,805.4 - 2.7
2008/3 1,991.7 30.0 14.2 10.9 5.3 5.3 1,827.3 - 2.3
2007/3 2,180.6 24.8 11.5 8.2 4.9 4.9 1,788.3 - 1.8
2006/3 2,083.2 50.6 13.1 10.1 8.4 8.4 2,315.5 - 1.8

コメント

・売上は減少傾向で推移し、直近期の2015/3期はピーク時の4分の1以下まで規模が縮小している。
・自己資本比率は20%程度を有しているが、棚卸資産回転期間が長期化している。特段流動性のないユニフォームを主力製品として扱っていることから、棚卸資産回転期間の長期化要因は、売れ残りによる不良在庫よりも、架空在庫の可能性が懸念され、実質的な財務内容は脆弱であったと思料される。
・借入は年商の過半となる過大な水準であり、資金調達余力は乏しい。

3.データの分析

・本ケースを分析する財務指標として「5期平均増減収率」と「棚卸資産回転期間」に注目した。
・当社においては、長期的に減収が続いているが、黒字を確保している。一見、収益構造の改善にみえるが、棚卸資産回転期間に注目することで、同社の黒字推移の背景を読み解く。
・棚卸資産回転期間は、毎期増加傾向で推移しており、業界平均(1.7ヵ月)に比し、3.2ヵ月長期化している。長期化している約2.8億円分は架空在庫の可能性が懸念され、実質的には債務超過状態であったと思料される。
・直近3期の棚卸資産は20百万円ずつ増加している。また、粗利益率は2013/3期の16.3%から2015/3期は17.9%に増加しており、粗利益率の増加分(+1.6ポイント)16百万円は棚卸資産の調整による利益操作の可能性が懸念され、営業利益の段階から赤字であった可能性も懸念される。
・下表は卸売業の「5期平均増減収率」及び「棚卸資産回転期間」の倒産倍率を集計したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であるといえよう。

○卸売業における5期平均増減収率(集計期間:2014/4~2015/3)...15/3期 ▲12.5%
5期平均比
増減収率
全体10%以上増収10%増収~10%減収10%~20%減収20%以上減収
倒産倍率 1.00倍 0.26倍 0.66倍 1.64倍 3.01倍
○卸売業における棚卸資産回転期間(集計期間:2014/4~2015/3)...15/3期 4.9ヵ月
棚卸資産
回転期間
全体3ヵ月未満3~4ヵ月4~5ヵ月5ヵ月以上
倒産倍率 1.00倍 0.93倍 1.09倍 2.73倍 2.84倍

4.総評

・棚卸資産回転期間の長期化や粗利益率の変動から、在庫操作による利益調整という典型的な粉飾の手法がみてとれる。ユニフォームの場合、リピート購入が生じるために定番商品に関して、在庫を保有し続ける必要があるが、当社の場合、当該事情を勘案しても棚卸資産が過大である。架空在庫の可能性が懸念され、実態は赤字続き及び債務超過状態であったと思料される。
・業界環境においては、国内の作業用ユニフォーム市場が少子高齢化の影響から縮小傾向で推移していた。また、同社の主販路であったガソリンスタンドは、法改正やセルフスタンドの増加によって統廃合が進み、ユニフォーム需要のあるフルサービスのガソリンスタンドの数は20年間で約半減していた。既述の影響を受け、同社の売上も減少傾向で推移していたとみられる。
・業界環境の悪化から減収傾向で推移、資金調達余力が限界に達していたことから、業績を良く見せるために粉飾に手を染め、破綻に至ったケースといえる。

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