月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】協和産業(株)

2015年10月30日更新

1.会社概要、倒産経緯

・1943年に繊維向け工業薬品を取り扱う商社として創業。着色剤や化学品、合成樹脂を主力商品として事業を展開し、大手企業を中心に国内メーカー数百社に営業基盤を築いていた。
・近年、同業他社との競合が厳しく、2013/9期には営業・経常赤字を余儀なくされた。その後、(株)イッコーズより特殊フィルムの取引を持ちかけられ、同社と(有)ケーテックとの循環取引の輪に参加することで、2014/9期の売上高は急拡大していた。
・当初、数千万円でスタートした取引であるが、取引回数を重ねるうちに、2015/6時点では20億円近くまで拡大していた。資金繰りが急速に悪化する中、(株)イッコーズ及び(有)ケーテックが倒産に至ったことで、当社も資金繰りが逼迫し、今回の措置に至った。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
売掛債権
回転期間
(ヵ月)
買掛債務
回転期間
(ヵ月)

2014/9

5,636.2 62.4 31.6 23.9 16.7 2.8 3,804.2 5.1 4.1
2013/9 4,049.3 ▲8.1 ▲3.0 1.9 21.8 3.0 2,804.9 4.8 3.9
2012/9 4,215.6 12.4 10.5 10.7 23.1 2.5 2,659.4 4.3 3.5
2011/9 4,394.3 50.1 40.8 26.4 25.5 2.2 2,450.7 3.6 3.0
2010/9 4,325.1 29.4 23.1 22.8 23.7 2.4 2,532.5 4.1 3.1
2009/9 4,082.6 27.8 21.0 9.4 23.4 2.6 2,545.8 4.2 3.3
2008/9 4,833.6 95.9 78.3 10.5 21.0 2.3 2,814.8 4.3 3.5
2007/9 4,534.1 91.2 71.8 45.7 20.7 2.7 2,871.7 4.7 3.5
2006/9 4,235.8 59.1 50.9 30.1 22.0 2.7 2,764.6 4.7 3.6
2005/9 4,221.1 90.5 82.9 51.0 20.9 2.7 2,844.0 4.5 3.9

コメント

・近年の売上高は、40億円程度で推移していた。2014/9期の売上高は56億円にまで急拡大していたが、実質的な売上高は40億円程度と想定すれば、そのうち16億円は循環取引によるものであったと考えられ、前年度の売上原価や販売管理費の水準を考慮すると、2014/9期は営業利益段階から億単位の赤字であったと推測される。
・売掛債権回転期間及び買掛債務回転期間の長期化から、不良債権または架空債権の可能性が推測できる。

3.データの分析

・本ケースを分析する財務指標として、「売掛債権回転期間」および「買掛債務回転期間」に注目した。
・2014/9期の売掛債権回転期間は5.1ヵ月と2013/9期に比し0.3ヵ月長期化し、一方の買掛債務回転期間も4.1ヵ月と2013/9期に比し0.2ヵ月の長期化がみられる。共に循環取引によるものと推測され、高水準となっている。
・2013/9期から2014/9期にかけて増加した売掛債権(約8億円)は循環取引によるものと思料される。この8億円は、循環取引の破綻と共に高い確率で不良化する資産であるため、非常にリスクの高い債権であったといえる。
・下表は、各データの倒産倍率を集計したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であるといえよう。

○売掛債権回転期間(集計期間:2014/4~2015/3)...2014/9期 5.1ヵ月
売掛債権
回転期間
全体2ヵ月未満2ヵ月~3ヵ月3ヵ月~4ヵ月4ヵ月~5ヵ月5ヵ月以上
倒産倍率 1.00倍 0.94倍 0.90倍 1.13倍 1.27倍 2.64倍
○買掛債務回転期間(集計期間:2014/4~2015/3)...2014/9期 4.1ヵ月
買掛債務
回転期間
全体2ヵ月未満2~3ヵ月3~4ヵ月4~5ヵ月5ヵ月以上
倒産倍率 1.00倍 0.92倍 1.04倍 1.38倍 1.40倍 2.40倍

4.総評

・本ケースは、循環取引に加わったことで、倒産に至った典型例である。
・斯業界は、大手企業や外資系企業の参入もあり厳しい環境が続いていた。当社業績は表見上、黒字であるが、実態は減収基調により営業利益段階から赤字に陥っており、資金繰りは非常に厳しく、売上を補填する為に当該循環取引に加わっていたものと推測できる。
・業績動向からは、概ね安定した推移であり大きな懸念は無いものと見受けられるが、「売掛債権回転期間」「買掛債務回転期間」の推移及び水準を見ると、その異常性を見い出すことができたであろう。
・業績の推移のみにとらわれることなく、粉飾の可能性を推測し、脆弱な財務実態であることを読み取ることができれば、倒産の危険性を把握できた案件といえよう。

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