月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】(株)新妻組

2016年1月29日更新

1.会社概要、倒産経緯

・1961年設立の土木工事業者。主に札幌や帯広の官公庁等を主力取引先として事業を展開していた。
・2010/4期には17億円超の売上高を計上していたものの、近年は、公共工事の減少に伴い、売上も減少していた。官公庁を主体として販路を形成していたことから、工事の減少によって競合が激化し、厳しい業界環境にあった。
・かかる中、外注費・労務費の上昇や赤字工事の発生により、大幅な赤字を計上、資金繰りが限界に達し、今回の措置となった。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
配当自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
借入
依存度(%)
実質
自己資本
比率(%)
2015/4 1,125.7 ▲127.7 ▲128.7 ▲149.4 2.5 5.5 590.6 86.8 ▲210.4
2014/4 1,206.7 ▲10.0 ▲17.5 ▲18.3 23.5 3.8 698.6 55.1 ▲104.1
2013/4 1,435.8 32.6 24.2 5.8 32.5 2.3 561.3 48.3 ▲113.7
2012/4 981.3 4.0 2.2 0.6 26.9 4.4 659.0 54.8 ▲98.3
2011/4 1,065.6 ▲49.7 ▲52.7 ▲60.2 29.1 1.3 604.7 18.5 ▲74.4
2010/4 1,732.6 14.4 13.3 7.4 37.3 0.8 634.6 19.2 ▲27.8
2009/4 1,354.1 15.9 8.6 8.7 33.7 0.8 679.1 13.9 ▲44.7
2008/4 1,416.0 49.9 39.9 2.1 42.3 1.2 520.6 28.0 ▲112.3
2007/4 1,040.3 12.9 5.2 1.1 54.3 0.4 602.6 9.3 19.1
2006/4 1,088.5 23.5 13.8 5.8 32.9 3.0 695.5 39.2 ▲52.0

コメント

・2014/4期、2015/4期は減収基調で推移し、営業利益の段階から赤字を計上した。
・固定化や、不良化が懸念される資産が約4億円程あり、資産性や回収可能性を考慮すると、実質的に債務超過状態であったと推測される。
・2015/4期に借入依存度は危険水準にまで上昇し、資金調達余力は限界に達していた。

3.データの分析

・本ケースを分析する財務指標として「借入依存度」及び「実質自己資本比率」に注目した。

・長期貸付金は長期にわたり約50百万円で固定化している。また、未収入金は3億円以上の計上が続き、不良化していたと推測される。これらが価値の乏しい資産であったことを考慮すると、実質的には多額の債務超過であったことを実質自己資本比率は表している。

・公共工事においては手付金や中間金により、事前に一定割合支払われるため、多額の運転資金需要によって常時資金繰りが圧迫されることは多くないが、当社の場合、赤字受注が続いていたことから、赤字補填のために運転資金を資金使途とする借入が嵩み、借入依存度が過大な水準に達したと思料される。

・下表は、各データの倒産倍率を集計したものである。この結果からも当該指標が倒産分析に有効であるといえよう。

○総合工事業における実質自己資本比率(集計期間:2014/4~2015/03)・・・2015/4期 債務超過
実質自己資本比率全体債務超過0~10%10~3030%以上
倒産倍率 1.00倍 1.73倍 0.78倍 0.55倍 0.69倍
○総合工事業における実質自己資本比率(集計期間:2014/4~2015/03)・・・2015/4期 86.8%
借入依存度全体30%未満30%~50%50%~80%80%以上
倒産倍率 1.00倍 0.68倍 0.69倍 1.19倍 1.80倍

4.総評

・本件は、財務状態が脆弱な中、売上確保のための赤字受注を余儀なくされ、資金繰りが逼迫し倒産に至ったケースである。
・公共事業が減少する中、民間事業に対する販路がなかったため、採算を確保できない工事を受注せざるを得ない状態が続き、外注費や労務費の上昇も相俟って、業績は悪化していた。
・かかる中、資金調達を図るにも、多数の債権が固定化していたこと、業績の悪化及び担保資産の不足によって、金融支援の確保が困難となったこと等から資金繰りが逼迫し倒産に至ったと思料される。
・本件は、決算情報に着目することで、倒産は容易に予見できた事例といえよう。

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