月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】(株)アドワーク

2013年3月28日更新

1.会社概要、倒産経緯

  • 1947年創業のディスプレイやサイン等の企画製造業者で、スーパー等に受注基盤を形成。他にもフィギュアなどの玩具の輸入販売などにも手を拡げ、ピークの2005/3期には売上24.5億円を計上。
  • 2006年の新社屋取得の際の借入が負担となる中、サブプライムローン問題やリーマン・ショック等の発生で企業の設備投資が低迷し受注の減少を余儀なくされた。関東での受注確保に努め増収には転じたものの、受注競争激化で利益率低下、資金繰りが悪化し、今回の措置となった。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
配当自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
運転資金
回転期間
(ヵ月)
経常収支
(百万円)
2012/3 1,661.7 45.4 19.1 9.1 6.0 6.7 1,328.7 3.6 ▲ 72.4
2011/3 1,551.6 56.2 26.1 13.7 5.5 7.4 1,287.0 3.1 ▲ 25.0
2010/3 1,452.8 46.9 21.8 12.4 5.0 7.4 1,178.2 2.9 53.1
2009/3 1,866.7 25.7 11.2 4.3 3.8 6.1 1,217.3 2.4 13.0
2008/3 1,624.1 24.3 17.8 0.2 3.3 7.7 1,259.3 2.6 51.4
2007/3 1,838.0 58.8 18.2 5.2 2.9 7.3 1,431.2 2.5 ▲ 12.0
2006/3 1,793.5 50.6 22.9 4.9 2.9 6.5 1,264.7 2.2 ▲ 187.7
2005/3 2,456.8 98.0 64.2 10.2 2.6 4.3 1,292.8 0.6 270.1
2004/3 2,426.6 126.5 91.1 10.4 1.5 4.4 1,424.7 1.6 -
2003/3 2,246.0 - - - - - - - -
コメント
  • 売上面では、2005/3期をピークに減収傾向となっていたが、関東での受注確保に努めた結果、2011/3期以降は増収に転じた。
  • 利益面では、毎期一応の黒字を計上しているが、2006年新社屋取得に伴う借入で利息が膨らみ、2008/3期以降経常利益率の低下を余儀なくされていた。最終利益も低収益であったことから、内部留保の蓄積はなかなか進まず、2012/3期時点でも自己資本は1億円未満の低水準であった。

3.データの分析

  • 本ケースの特徴として、「運転資金回転期間」及び「経常収支」に注目した。
  • 売掛債権回転期間は年々長期化し、2012/3期では4.4ヵ月と業界標準値2.9ヵ月を大幅に上回る水準で推移。一方、買掛債務回転期間も長期化し2.7ヵ月となっていたものの、業界標準値2.4ヵ月とさほど乖離はない水準であった。
  • 売掛債権の増加を主因に運転資金は2010/3期から2012/3期までに約1.5億円増加してきており、その間に月商の1ヵ月分以上の資金を調達しなければならない状態にあったといえる。
  • その点に関して、運転資金回転期間をみれば、2009/3期の2.4ヵ月に対して、2012/3期では3.6ヵ月にまで長期化しており、資金繰りへの負担増が見てとれよう。
  • また、2011/3期・2012/3期は経常収支が連続マイナスとなっている点からも、営業活動による資金流出が資金繰りの悪化要因であったことが思料される。
  • 以下の表は、「運転資金回転期間」及び「経常収支」に関する倒産確率を示したものであり、この結果からも、指標が倒産分析に有効であるといえよう。
○運転資金回転期間(集計期間:2011/4~2012/3) ・・・ (2012/3期)3.6ヵ月
運転資金回転期間全体1ヵ月未満1ヵ月~2ヵ月2ヵ月~3ヵ月3ヵ月以上
倒産倍率 1.00倍 0.83倍 0.64倍 1.30倍 2.04倍
○経常収支(集計期間:2012/4~2013/3)・・・2期連続マイナス
運転資金
回転期間
全体2期連続
プラス
直近期プラス
・前期マイナス
直近期マイナス
・前期プラス
2期連続
マイナス
倒産倍率 1.00倍 0.48倍 1.00倍 1.13倍 2.15倍

4.総評

  • 本件は、利益面では黒字計上続いていたものの、財務面では自己資本乏しく、借入に依存した財務状況にあった中で、回収サイトの長期化を主因とした運転資金の増加が資金繰りを圧迫したケースである。
  • 業績動向のみを見れば、概ね安定した推移であり、大きな懸念はなかったものと見受けられるが、財政情報から資金繰りに注目してみれば、既述のとおり資金繰りへの負担増、または粉飾の疑いを想定でき、資金繰り悪化懸念を事前に察知しうることから、企業分析における資金繰り分析の重要さを改めて確認させられるケースといえよう。

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