月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】日管工業(株)

2013年6月25日更新

1.会社概要、倒産経緯

1931年7月創業、1954年5月に法人改組。学校や公共施設、病院の空調、冷暖房、ガス設備などの管工事を手掛け、1994年9月期には売上高約94億円規模まで成長した。
しかし、近年は公共事業の減少に伴い、業績の低迷が続き、2012年9月期には売上高約38億円まで落ち込み、経常赤字に転落。業績低迷により厳しい資金繰りを余儀なくされていた中、2012年での赤字転落で資金繰りが逼迫。取引先、金融機関への返済条件変更を要請するも、返済のメドが立たず、今回の措置に至った。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
棚卸資産回転期間
(ヵ月)
長期借入率(%)
2012/9 3,767.7 0.4 -31.4 -31.4 17.7 7.6 4,853.1 4.2 21.5
2011/9 3,783.2 42.4 18.7 0.8 20.4 6.5 4,363.8 3.9 35.0
2010/9 4,523.1 89.2 63.9 1.1 23.1 5.3 3,848.0 3.3 47.0
2009/9 5,036.7 104.2 82.6 2.6 22.7 4.3 3,928.8 2.6 49.4
2008/9 5,007.0 59.8 26.2 3.3 19.3 4.7 4,404.8 1.7 46.8
2007/9 5,032.8 66.3 32.2 1.7 23.1 4.0 3,882.6 0.8 51.2
2006/9 4,735.5 46.5 20.2 3.6 21.2 4.4 4,401.8 1.8 53.0
2005/9 4,534.5 26.1 10.2 3.1 26.0 3.8 3,622.9 0.9 48.2
2004/9 5,183.0 56.6 41.9 6.2 26.9 3.8 3,586.7 1.0 47.8
2003/9 5,021.5 75.3 49.5 5.6 22.0 3.1 4,471.8 1.5 40.1

コメント

・収支面においては、2009/9期をピークに減収減益の一途を辿っており、2012/9期では、不採算工事の受注もあり、経常利益段階から大幅な赤字に転落していた。
・財政面においては、業績の低下に伴って運転資金が発生。借入調達にて賄っていたため、借入金は増加基調で推移していた。考えられる。

3.データの分析

・本ケースの特徴として、「棚卸資産回転期間」に注目した。
・本件では、2009/9期以降減収減益推移を余儀なくされていく中、未成工事支出金は増加基調で推移し、2012/9期には棚卸資産回転期間は、4.2ヵ月となっていた。
・事業特性上、工事期間が特段長くもなく(棚卸資産回転期間の業界平均0.5ヵ月)、公共工事の最盛期(2~3月)でもない9月末時点で、4.2ヵ月分の未成工事を有している点には着目する必要があろう。
・未成工事支出金の多くが、架空売上計上に利用されていたとすれば、実態収支は赤字状態が続いていたものと考えられ、自己資本も大幅に毀損していたものと考えられる。
・以下の表は、「棚卸資産回転期間」に関する倒産確率を示したものである。この結果からもこの指標が倒産分析に有効であるといえよう。

○棚卸資産回転期間(集計期間:2012/4~2013/3)・・・2012/9期 4.2ヵ月
棚卸資産回転期間全体1ヵ月未満1ヵ月~2ヵ月2ヵ月~3ヵ月3ヵ月~4ヵ月4ヵ月以上
倒産確率 0.58% 0.67% 0.7% 1.11% 1.55% 2.39%

4.総評

・本ケースにおいては、上記のとおり、未成工事支出金を使った粉飾の疑義が考えられ、業績の悪化を粉飾で隠したものの、実態の資金繰りは悪化の一途を辿り、借入需要は増加基調で推移していたものと推測される。
・しかし、借入による資金調達においても、業績悪化によって長期与信を得にくい状態であったこと、一部金融機関の取引消極化がみられたこと等を理由に、短期資金を主とした調達を余儀なくされていたものと思料され、その点が決算上でも長期借入率の低下として表れているものと考えられる。
・総じて本件は、収支面の悪化以上に財政面の悪化が顕著にみられるケースであることから、収支推移と財政推移を合わせて比較することで、早期に倒産の予見が可能であったケースといえよう。

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