月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】北海道ロングリバー(株)

2014年2月28日更新

1.会社概要、倒産経緯

・1976年8月設立の婦人服卸・小売業者。中級品を主体に、北海道内各地のスーパー、百貨店等への販路を形成していた。
・近年、斯業界において、中国など協力工場から低価格ファッションを輸入、販売する動きが広がっている中で、当社においては、市況低迷や同業他社との競争激化から、売上高はピーク時(1997/7期)の22億円から、2012/7期には14億円まで減少を余儀なくされてきた。この間、直営店開設などにより売上回復を図り、一時は回復の兆しも見えたが、経費負担も大きく利益確保が困難な状態となり、資金繰りは悪化。仕入先への支払いや従業員への給与遅配が生じていた。
・また、一方で、過去の粉飾決算に対する過年度売上修正により、2013/4期は大幅な債務超過に転落するなど、信用不安が急激に拡大したことから、事業の継続を断念し、今回の措置となった。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
現預金
回転期間
(ヵ月)
売掛債権
回転期間(ヵ月)
2013/4 709.2 ▲73.0 ▲64.0 ▲645.0 ▲35.5 9.7 1,074.9 0.3 9.9
2012/7 1,355.4 42.6 21.8 1.9 15.2 5.5 1,730.3 0.5 9.1
2011/7 1,659.5 46.4 24.1 0.4 13.4 5.0 1,942.0 1.6 7.5
2010/7 1,890.6 28.3 6.7 0.7 13.2 3.9 1,967.9 1.7 6.2
2009/7 1,827.7 41.4 4.6 1.6 13.7 4.1 1,866.1 1.7 5.8
2008/7 1,755.7 26.4 9.2 6.1 13.3 4.5 1,900.8 2.2 6.1
2007/7 1,721.5 26.2 10.0 4.7 13.8 8.3 1,823.5 2.5 5.3
2006/7 1,688.3 33.2 13.2 7.8 13.3 8.3 1,860.8 3.3 5.2
2005/7 1,667.7 15.9 6.3 2.4 11.8 8.5 2,034.7 4.3 5.5
2004/7 1,807.3 33.4 23.6 14.6 10.1 9.4 2,373.2 5.6 6.0

コメント

・2010/7期までは、増収基調で推移するものの、利益は不安定に推移していた。最終利益においては、低調ながら黒字推移が続いていた。
・その後は、消費低迷や競合他社との競争激化に伴い、事業規模の縮小を余儀なくされ、2011/7期以降は、毎期大幅な減収となった。
・2013/4期には、過年度の売上修正を行ったことから多額の赤字計上となり、債務超過に転落した。

3.データの分析

・本ケースの特徴として「現預金回転期間」、および「売掛債権回転期間」に注目した。
・2011/7期以降の大幅な減収と、直営店運営に伴う経費増加により利益を確保できず、資金の流出に歯止めがかからない状態が続いていた。
・赤字補填のための資金需要が発生するも、資産力が乏しく新規借入が困難であるため、手形割引や固定資産の売却などで資金調達を図っていたが、資金繰りは逼迫する一方であったと思料される。
・なお、売掛債権回転期間の長期化は粉飾決算によるものと考えられるが、現預金回転期間の推移は、上記の実態を表しているものと見られ、現預金が過小な先は倒産確率が高まることを裏付けた結果となった。

・下表は、現預金回転期間、および、売掛債権回転期間の倒産倍率を集計したものである。この結果からも当該指標が倒産分析に有効であるといえよう。

○現預金回転期間(集計期間:2012/10~2013/9) 2013/4期:0.3ヵ月(業界平均:1.7ヵ月)
現預金回転期間全体現預金マイナス0ヵ月~0.4ヵ月0.4ヵ月~1ヵ月1ヵ月~3ヵ月3ヵ月~
倒産倍率 1.00倍 4.97倍 1.41倍 1.09倍 0.79倍 0.85倍
○売掛債権回転期間(集計期間:2012/4~2013/3) 2013/4期:9.9ヵ月(業界平均:2.4ヵ月)
売掛債権回転期間全体0ヵ月0ヵ月~3ヵ月3ヵ月~6ヵ月6ヵ月~9ヵ月9ヵ月~
倒産倍率 1.00倍 0.87倍 0.91倍 1.31倍 3.31倍 4.12倍

4.総評

・近年のファストファッションの台頭などにより、消費者の低価格志向が広がっている。このような状況下においては、売上原価の増加を販売価格へ転嫁できない企業においては、業績への影響も大きく、ひいては資金繰りも悪化してしまう。
・本ケースにおいては、支払いや資金繰りに関する情報が出回っていたこともあり、早い段階から警戒すべき先とみることができていたが、仮に不安情報がなかったとしても、現預金や売掛債権の推移などの財務指標における異常値を検知することや、業界動向を併せて分析することで、倒産の予見は容易であったといえる。

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