月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】(株)三高製作所

2014年3月28日更新

1.会社概要、倒産経緯

1947年設立の金属製建具製造業者。特殊仕様のアルミサッシやカーテンウォール等の製造及び付帯工事を手掛けていた。アルミサッシでの新製品開発やデザイン・精度等が業界で高く評価されており、大手ゼネコンを中心に受注基盤を形成していた。ピークとなる1996/7期には売上高22億円を計上するが、その後業況の悪化や値引き要請により減収を強いられていた。業種柄、建設業界の業況の影響を大きく受け、リーマンショックによる受注の減少、及び競争激化に伴う価格の下落が業界全体で続いている。直近では、大型商業施設の受注や耐震工事の受注によりやや持ち直すも、脆弱な財務状況の中での運転資金需要の発生により資金繰りが限界となり、今回の措置となった。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
売掛債権
回転期間
(ヵ月)
手形
割引率(%)
2013/7 1,012.0 27.6 1.6 1.1 17.0 10.7

1,441.7

5.3 100.0
2012/7 922.8 22.2 5.4 5.1 19.1 11.0

1,284.9

4.7 92.6
2011/7 806.9 9.3 5.1 4.7 15.0 15.0

1,647.0

6.8 7.2
2010/7

706.3

12.4 1.1 0.7 19.6 16.5

1,310.8

3.8 0.0
2009/7 1,012.4 19.8 2.4 1.3 19.0 10.2

1,414.8

2.1 0.0
2008/7 1,321.3 19.7 2.7 1.1 16.3 7.8

1,635.4

2.7 0.0
2007/7 1,263.0 20.0 7.1 1.0 17.0 8.2

1,554.6

2.2 18.9
2006/7 900.5 38.5 26.2 1.3 18.6 11.6

1,373.1

2.7 57.4
2005/7 1,328.6 13.9 1.3 0.0 20.1 6.3

1,365.7

1.5 0.0
2004/7 1,701.3 18.2 1.7 0.2 13.9 6.3

1,955.0

4.5 50.7

コメント

・市況低迷により、売上は10億円前後で推移し、2010/7期はピーク時の3分の1にまで減少した。その後、受注がやや持ち直し、3期連続の増収となっていた。
・利益は毎期黒字を計上するも、発注元からの値引き要請や受注減少により十分な利益を確保できず、低収益で推移していた。
・低収益のため自己資本の蓄積はなかなか進まず、資金需要は借入で賄う状況が続き、借入過多で推移していた。

3.データの分析

・本ケースの特徴として「売掛債権回転期間」、および「手形割引率」に注目した。
・以前より棚卸資産が高止まりし、運転資金を借入にて賄う状況が続いていた。かかる状況下、受注回復により売上が増加していたが、手形での回収の増加等、長い回収サイトでの受注が増加し、新たな運転資金需要が発生した。その一方で、長期借入金を中心に借入が減少しており、金融機関から借入の返済を迫られていた可能性がある。新たな運転資金需要と借入返済のために現預金が流出し、さらに受取手形のほとんどを割り引いて現金を捻出していたとみられることから、資金繰りが苦しかった状況が推測される。
・下表は、売掛債権回転期間および手形割引率の倒産倍率を集計したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であるといえよう。

○売掛債権回転期間(集計期間:2012/10~2013/9)
売掛債権回転期間全体2ヵ月未満2ヵ月~5ヵ月5ヵ月~8ヵ月8ヵ月以上
倒産倍率 1.00倍 1.06倍 0.80倍 2.05倍 5.03倍
○手形割引率(集計期間:2012/10~2013/9)
手形割引率全体30%未満30~60%60~90%90%以上
倒産倍率 1.00倍 0.75倍 1.28倍 2.10倍 3.64倍

4.総評

当社は、業界内でも評価が高い開発力や技術力を武器にアルミサッシなどの金属製建具の製造、取付工事を行っていた企業である。2010/7期までは、建設業界の業況の厳しさによる受注減少や価格競争の激化の影響により、減収傾向にあったが、近年は大型案件の受注等により増収に転じ、業績回復の兆しが見られていた。一方で、財政面では、以前より棚卸資産が過多状態であり、借入に依存した資金繰り状況であった。かかる中で、増収に伴って売掛債権が増加し、新たな資金需要が発生したことで、さらに資金繰りが圧迫し、今後の見通しが立たなくなったために今回の措置へ至ったものと考えられる。業績面をみれば、好転していると捉えられるが、財務面を丁寧に分析すれば、資金需要による資金繰りの苦しさが見てとれ、倒産の予見が可能な事例と考えられる。

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