月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】中央建設㈱

2014年9月30日更新

1.会社概要、倒産経緯

 1947年創業の老舗の建築工事会社。民間の木造住宅の建築を主力とし、マンションやオフィスビル、学校、工場など多岐にわたる建築に事業を拡大してきていた。売上のピークは、1989/8期には約57億円の売上を計上していたが、バブル崩壊後、住宅着工数の減少などにより受注が減少し、2006/8期には売上は約8億円にまで低下していた。その後は、マンションブームの到来やリーマンショックなど時代の流れに受注が大きく左右される状態が続いた。近年、震災復興や五輪準備等により人手不足や資材の高騰により採算性が悪化し、運転資金の増加を借入で賄うも、資金調達は限界に達し、今回の措置となった。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
運転資金
回転期間
(ヵ月)
経常収支額
(百万円)
2013/8 1,350.2 11.1 5.9 3.7 20.5 5.7 1,291.9 0.0 ▲235,755.0
2012/8 937.6 8.7 2.3 0.9 21.2 5.5 1,230.0 ▲1.7 ▲132,282.0
2011/8 818.6 ▲64.3 ▲60.5 ▲81.9 31.4 4.2 827.7 0.0 ▲192,991.0
2010/8 932.6 ▲126.7 ▲117.9 ▲203.4 46.6 2.3 756.8 ▲1.7 22,270.0
2009/8 2,457.9 ▲76.4 ▲53.9 ▲55.4 58.2 0.2 974.4 0.0 ▲366,811.0
2008/8 3,039.2 50.9 56.0 103.4 42.0 0.3 1,533.6 ▲1.2 246,687.0
2007/8 2,441.4 7.5 16.1 14.6 34.3 0.6 1,596.0 ▲0.6 ▲171,618.0
2006/8 789.1 15.5 34.3 ▲254.7 32.7 2.9 1,676.3 ▲4.8 336,769.0
2005/8 1,909.8 6.2 59.2 ▲29.5 55.5 2.1 1,685.9 ▲0.7 ▲85,047.0
2004/8 2,288.1 26.9 82.0 81.5 48.2 1.9 2,037.6 - 99167.0

コメント

・2009/8期~2011/8期に3期連続で大幅減収、大幅赤字となり、その後増収黒字に転換するも、低収益で推移していた。業界全体で人件費や資材が高騰するなか、採算性の低い無理な受注で売上を確保し、実質的には赤字であった可能性が考えられる。
・赤字計上により、自己資本は毀損し、その一方で、借入は増加基調となっていた。

3.データの分析

・本ケースを分析する財務指標として「運転資金回転期間」と「経常収支額」に注目した。下表は、各データの倒産倍率を集計したものである。
・2012/8期以降、業績面は、増収し、黒字を計上するなど好転したように見受けられる一方で、財政面では、未成工事支出金が大幅に増加していた。その結果、運転資金の増加により、資金需要が発生し、近年は経常収支がマイナスとなり、資金繰りは悪化していたと考えられる。
・2013/8期の運転資金回転期間は3.4ヵ月であり、倒産倍率は決して高い数値ではない。しかし、近年の回転期間の長期化を考慮すれば、2014/8期にさらなる資金需要が発生していれば、倒産の可能性はより高まっていたと考えられる。
・経常収支のマイナスが続き、資金が流出する状況が続いていた。集計結果からも連続で経常収支のマイナスを計上した場合には、倒産倍率が高まることが読み取れる。

○総合工事業における運転資金回転期間(集計期間:2013/04~2014/03)・・・2013/08期 3.4ヵ月
運転資金回転期間全体0ヵ月未満0ヵ月~2ヵ月2ヵ月~4ヵ月4ヵ月~6ヵ月6ヵ月超
倒産倍率 1.00倍 0.95倍 0.80倍 1.11倍 2.56倍 8.46倍
○総合工事業における2期経常収支(集計期間:2012/04~2013/03) ・・・ 2012/08期・2013/08期 2期連続マイナス
2期経常収支全体2期連続
プラス
マイナス→プラスプラス→マイナス2期連続
マイナス
倒産倍率 1.00倍 0.58倍 0.98倍 0.87倍 1.86倍

4.総評

 復興需要や五輪準備、消費税増税による駆け込み需要などにより、建築業界は活況を呈している一方で、現場の人手不足による人件費の高騰や円安による資材の高騰が収益を圧迫している。当社においても、売上は回復傾向にあったものの、未成工事支出金増加により運転資金が増加し、資金需要が発生。資金需要により資金繰りは悪化していたとみられ、実際に支払面に関する不安情報も聞かれていた。P/Lだけでなく、B/Sを分析することで、未成工事支出金の増加や借入の増加から資金繰りの悪化、また、借入が固定資産を大きく上回る水準であることから借入余力が少ない点を読み取ることができ、倒産を予見することは容易であった案件と考えられる。

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