月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】大生技建㈱

2014年10月31日更新

1.会社概要、倒産経緯

・当社は、1974年に創業し、埼玉県や東京都を中心に木造住宅の新築工事を請け負う下請け業者。
・近年は、建設業界低迷に伴う業績悪化から、従来の下請け工事に加え一般顧客からの新築・リフォーム工事の受注獲得にも注力し、2013/7期には直近15年で最高となる23億1627万円の売上高を計上していた。
・しかし一方で、施工体制が外注に依存していたことから、売上増加に比し十分な利益を確保できておらず、資金繰りの抜本的な改善には至らなかった。不透明な取引の噂が発生するなど信用状態が不安視されていた中、取引先の倒産により約2億円の貸倒れを被ったことを主因に、子会社のホームプランと共に倒産に至った。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
固定資産
借入比率
(%)
実質自己資本比率
(%)
2013/7 2,316.3 36.8 23.9 3.4 2.9 3.2 1,654.6 839.4 ▲38.7
2012/7 2,313.0 ▲23.2 2.2 1.4 3.0 2.7 1,490.3 524.0 2.5
2011/7 2,087.2 18.8 0.9 0.9 3.3 2.7 1,317.4 482.7 1.9
2010/7 1,749.7 4.6 8.3 8.3 3.6 3.1 1,202.5 456.3 2.9
2009/7 1,488.2 5.7 6.1 6.1 3.6 3.1 919.3 392.3 2.5
2008/7 1,271.9 2.8 0.1 0.1 3.1 3.8 865.3 405.7 ▲3.7
2007/7 1,331.7 2.2 2.0 2.0 4.1 2.6 643.3 333.2 1.0
2006/7 1,328.1 ▲3.7 ▲0.9 ▲0.9 3.0 3.2 635.2 485.6 2.0
2005/7 1,266.4 11.0 16.3 16.3 3.1 2.5 617.6 456.8 0.5
2004/7 1,043.6 - - - - - - - -

コメント

・毎期一応の黒字ながらも、低水準の利益推移であったことから、内部留保の蓄積が乏しい状態が続いていた。
・借入月商比の水準は高くないものの、固定資産の8倍以上の借入金を有し、借入余力は乏しい。
・受取手形の額が数年間で6億円以上も増加している点について、回収期間の観点からも急激な長期化が見られ、警戒すべき推移と捉えられる。仮に増加分が架空売上などに伴って生じた債権である場合、実態収支は大幅赤字かつ債務超過状態であったと考えることができる。

3.データの分析

・本ケースを分析する財務指標として「実質自己資本比率」と「総借入対固定資産比率」に注目した。下表は、各データの倒産倍率を集計したものである。
・受取手形の額が数年間で急激に増加しており、業界平均と比して債権の回収期間が3.5ヵ月程超過している。超過分の債権が資産性に乏しいものと想定した場合、2013/7期は実質的には債務超過状態であるといえる。
・借入の保全にっ固定資産が用いられ易いことを考慮し、固定資産に対する借入の割合を借入余力とみなし、倒産との相関性を集計した。当社の場合、当該比率が過去から高い水準で推移し、2013/7期では、総借入が固定資産の8倍以上あり、借入余力は乏しい状態であったと考えられる。

○総合工事業における実質自己資本比率(集計期間:2013/4~2014/3)・・・2013/7期 38.7%
自己資本比率全体債務超過0以上10%未満10~30%30%以上
倒産倍率 1.00倍 1.59倍 0.94倍 0.70倍 0.75倍
○総合工事業における総借入対固定資産比率(集計期間:2013/4~2014/3) ・・・ 2013/7期 839.4%
総借入対固定資産比率全体無借金0%超100%以下100~300%300%超
倒産倍率 1.00倍 0.84倍 0.58倍 1.16倍 1.41倍

4.総評

・当社は、下請け工事業者として、受注工事の採算確保が難しい立場であったと想定される。
・かかる状況下において、一般顧客からの受注獲得によって収支構造の改善を図るも、価格の低廉化に加え外注依存型の施工体制を主因に抜本的な業績の改善には至らない状態が続いていた。
・財政面から、短期借入により運転資金を確保している様子が伺えるが、借入金が固定資産を大きく上回る水準であり、借入余力は限界であったと読み取れる。
・資金繰りに窮する状況下で、金融機関からの借入れに期待できないことから、不透明な取引による資金の調達を行った可能性もあり、資金繰りの逼迫により、倒産に至ったケースといえる。

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