月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】㈱山陽精機

2014年11月28日更新

1.会社概要、倒産経緯

・1969年設立。繊維加工機械の製造業者で、国内大手化繊メーカーを中心にアジアなどの海外企業にも受注基盤を形成していた。
・ピーク時の2001/10期には11億円以上の売上高を計上していたが、国内大手化繊メーカーが海外生産へシフトしたことにより、近年の売上高は3~4億円程度にまで減少し、低収益が続いていた。
・財政面においては、過去の不良資産によるものだと考えられる売掛債権が多額で推移している。さらに、手持ちの現預金が乏しく、財務は脆弱な状態にあった。これは、現金を取り崩して借入返済資金や運転資金を捻出していたことによるものと推測される。
・かかる中、消費税増税後の2014年4月以降は受注が激減し、運転資金の調達の目途が立たなくなったことから資金繰りが逼迫し、今回の措置に至った。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
現預金
回転期間
(ヵ月)
売掛債権
回転期間
(ヵ月)
2013/10 417.6 9.6 2.2 2.1 18.1 9.9 608.1 0.4 8.4
2012/10 405.1 4.2 2.3 2.4 16.6 11.7 648.5 1.0 10.1
2011/10 489.7 17.5 14.4 5.6 16.3 8.4 645.2 2.1 7.0
2010/10 312.0 ▲11.0 5.0 5.0 19.0 12.2 553.0 2.7 8.5
2009/10 375.0 ▲101.0 ▲81.0 ▲81.0 21.6 10.1 467.0 0.5 6.4
2008/10 518.7 12.8 3.1 3.0 21.2 10.0 829.1 4.3 6.6
2007/10 434.3 - - ▲22.3 22.6 - - - -
2006/10 463.9 - - 5.1 - - - - -
2005/10 367.0 - - ▲49.2 - - - - -
2004/10 572.7 - - 1.0 - - - - -

コメント

・直近の4期は、黒字ながらも低収益で推移し、内部留保の蓄積は期待できない。
・2013/10期において、現預金回転期間が0.4ヵ月と過小であり、手持ちの現預金が乏しかったことがわかる。
・過去から売掛債権回転期間が長期で推移しており、不良資産の内包が推測される。

3.データの分析

・本ケースを分析する財務指標として、「売掛債権回転期間」および「現預金回転期間」に注目した。
・下表は、各データの倒産確率を集計したものである。
・2013/10期において、売掛債権が約3億円計上されており、売掛債権回転期間は8.4ヵ月と長期である。業界平均は2.9ヵ月であることから、売掛債権の適正額を約1億円と推測すると、約2億円の不良資産を抱えていたものと考えられる。
・手持ちの現預金が乏しく、さらに減少基調であったことから、資金の捻出が困難な状態にあったことが読み取れる。
・2つの財務指標より、回収の遅滞が原因で手持ち現預金が減少し、借入に依存した資金繰りを余儀なくされていたものと読み取れる。
・この結果からも当指標が倒産分析に有効であるといえよう。

○売掛債権回転期間(集計期間:2013/3~2014/3)・・・2013/10期 8.4ヵ月
売掛債権回転期間全体1ヵ月未満1ヵ月~3ヵ月3ヵ月~5ヵ月5ヵ月以上
倒産倍率 1.00倍 0.98倍 0.84倍 1.25倍 2.70倍
○現預金回転期間(集計期間:2013/4~2014/3) ・・・ 2013/10期 0.4ヵ月
現預金
回転期間
全体0.6ヵ月未満0.6ヵ月~1.5ヵ月1.5ヵ月~3ヵ月3ヵ月以上
倒産倍率 1.00倍 1.36倍 1.93倍 0.72倍 0.89倍

4.総評

・本件は、受注減少による業況悪化や売掛債権の不良化により、資金繰りの借入依存度が高まり、負担が増加する中、消費税増税後の受注激減が追い打ちをかけ、倒産に至ったケースである。
・斯業界は、台湾、韓国、中国製などの繊維機械産業の台頭により受注が減少傾向にあり、需要変動も大きい。さらに、近年は海外企業との価格競争により、採算が悪化している企業数が相当数あり、既借入の返済繰延べなどを必要とするケースが多く見られる。
・一般的に、売上の減少に伴い収益による資金の創出が期待できない企業は、必要資金を借入や現有資産に頼ることになり、収益の改善が見込めない場合は、さらなる資金繰りの悪化を招いてしまう。本件のように、売上減少、借入増加、手持ち現預金減少の3点が重なっている企業には、特段の注意が必要といえよう。

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