月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】丸平建設㈱

2015年2月27日更新

1.会社概要、倒産経緯

・1909年に創業した建築工事業者。岐阜県を中心に木造関連工事を主力として、30億円規模の受注基盤を築いていた。
・一般個人の受注が60%を占めていた当社は、国内消費低迷の影響を受け2011/8期から減収基調で推移していたが、2014/8期には、消費増税前の駆け込み受注で減収に歯止めがかかり、経常利益段階では利益水準も概ね安定的に推移していた。
・毎期黒字決算を築いていた中で倒産した背景として、業界平均に比して大幅に高水準な棚卸資産による利益調整が行われていた懸念が考えられる。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
棚卸資産
回転期間
(ヵ月)
自己資本
比率
(%)
2014/8 3,111.6 80.3 36.1 ▲30.5 7.2 7.3 2,913.0 6.2 ▲32.6
2013/8 3,099.3 74.5 31.2 9.4 8.0 8.0 2,979.9 5.5 ▲24.3
2012/8 3,292.4 77.9 32.1 4.4 7.5 7.1 3,061.3 6.1 ▲33.2
2011/8 3,359.1 73.4 27.9 3.8 7.6 6.4 2,977.5 5.9 ▲21.3
2010/8 3,519.7 74.1 28.7 3.7 6.6 5.9 3,358.8 6.9 ▲23.0
2009/8 3,123.1 71.1 25.6 ▲43.2 7.7 6.4 2,834.8 5.9 ▲26.0
2008/8 2,965.6 68.7 27.8 5.9 9.0 6.5 2,899.4 6.8 ▲34.8
2007/8 3,086.0 64.1 24.5 4.1 8.7 6.6 2,928.5 6.0 ▲27.6
2006/8 3,263.2 51.9 18.2 5.1 8.4 6.0 2,978.8 5.9 ▲29.2
2005/8 3,556.1 69.3 25.4 5.4 8.0 6.2 3,085.7 5.4 ▲26.0

コメント

・売上高は概ね30億円内外を維持しており、利益も経常損益段階では安定的な黒字推移を維持していた。
・しかしながら、当期利益段階では利益額が僅少化し、自己資本の蓄積も乏しい状態が続いていた。
・業界平均を大幅に超過した資産について、資産性が乏しいものと判断して算出した実質自己資本比率では、大幅な債務超過状態が続いていた。

3.データの分析

・本ケースを分析する財務指標として、「棚卸資産回転期間」と「実質自己資本比率」に注目した。
・本件の様に、毎期黒字を計上しながら清算手続に移行するケースでは、粉飾が行われている可能性が考えられる。
・建設業における粉飾方法としては、未完成工事売上の前倒し計上や期末棚卸資産の調整による利益の架空計上などが挙げられるが、業種柄、多額の在庫品を長期にわたり保有し続けることが想定しにくい当社において、棚卸資産回転期間が業界平均1.24ヵ月を大幅に超過する6ヵ月超であったことを考慮すると、棚卸資産の過大計上による粉飾が実施されていたことが考えられる。
・また、資産性の乏しい過剰在庫を自己資本から控除することで、実質的に債務超過状態であったことが想定され、財政状態はきわめて脆弱な状態であったことが推測される。
・下表は、総合工事業の「棚卸資産回転期間」及び「実質自己資本比率」の倒産倍率を集計したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であるといえよう。

○総合工事業における棚卸資産回転期間(集計期間:2013/4~2014/3)・・・2014/8期 6.2ヵ月
棚卸資産回転期間全体1ヵ月未満1ヵ月~3ヵ月3ヵ月~5ヵ月5ヵ月以上
倒産倍率 1.00倍 0.98倍 0.84倍 1.25倍 2.70倍
○総合工事業における実質自己資本比率(集計期間:2013/4~2014/3)・・・2014/8期 債務超過
実質自己資本比率全体債務超過0~10%10~30%30%以上
倒産倍率 1.00倍 1.59倍 0.94倍 0.70倍 0.75倍

4.総評

・本件は、粉飾によって表面上では黒字計上を維持していたが、実質的には債務超過状態が続き倒産に至ったケースである。
・既述のとおり、斯業界においては、その事業特性から売上や利益の調整を行いやすいため、業績が安定推移していても、財政面の確認を十分に行う必要があり、異常な水準や推移が見られる勘定科目については、内容を吟味する必要がある。
・その点において、本ケースは、棚卸資産のほか、自己資本の水準、借入の多寡など財政面のチェックによって異常を検知できる項目が複数存在していたことから、倒産の検知は決して困難ではないケースであったといえよう。

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