月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】昭成産業㈱

2015年5月29日更新

1.会社概要、倒産経緯

・1986年創業の鉄鋼一次製品卸売業者。主に鋼材の塗装及び加工、塗料・土木資材の販売を行っていた。
・原材料の高騰などにより、十分な利幅を確保できず、脆弱な財政状態が続いていた中、リーマンショック以降の急激な景気後退を主因とする赤字転落なども相俟って、資金繰りは一層厳しい状態となっていた。
・当社としても、利益率の高い事業への新規参入などによって経営再建を図っていたものの、新規事業は伸び悩み、投資負担によって更なる赤字を余儀なくされたことで、金融支援も途絶え、資金繰りが破綻し今回の措置となった。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
実質自己
資本比率
(%)
経常収支
(千円)
2014/7 1,828.6 ▲12.4 ▲20.7 ▲15.6 6.4 2.3 963.3 ▲14.1 ▲51,104
2013/7 1,752.9 ▲21.3 ▲28.7 ▲28.9 9.0 2.1 858.1 ▲8.7 ▲30,419
2012/7 1,749.4 13.8 7.7 ▲3.4 15.8 1.7 672.4 ▲3.9 ▲28,957
2011/7 1,917.0 2.1 ▲3.0 ▲3.2 10.8 1.3 1,009.5 ▲1.6 ▲11,227
2010/7 1,674.9 21.7 13.6 9.8 17.5 1.4 651.5 ▲3.8 65,781
2009/7 2,209.9 30.3 22.8 13.3 15.3 1.4 673.5 ▲7.7 16,854
2008/7 1,635.7 12.3 5.9 51.3 12.6 1.8 712.0 ▲13.2 2,837
2007/7 1,299.9 ▲12.2 ▲16.4 ▲16.5 6.9 1.5 563.7 5.6 ▲44,214
2006/7 1,507.4 12.1 8.1 4.1 9.8 0.8 579.6 9.1 7,585
2005/7 1,288.2 10.6 7.6 2.4 7.9 1.1 664.5 6.6 ▲16,052

コメント

・売上の変動幅は大きく、それに伴って利益にも波があり、低収益、赤字散発などにより、自己資本は低調に推移していた。
・経常収支の変動は、利益と概ね同調していることから、業績の動向が資金繰りに直結していたことが窺える。
・多額の貸付金等の資産性を考慮すれば、2008/7期以降は実質債務超過状態が続いていたと考えられる。

3.データの分析

・本ケースを分析する指標として「経常収支額」と「実質自己資本比率」に注目した。
・上述のとおり、当社の経常収支は収支の赤字に伴って、2011/7期以降マイナスが続いており、約1億円の資金需要が発生していたと考えられる。
・当該資金需要について、金融調達で対応しようと考えた場合、従来から保有固定資産を上回る額の借入金を有していることを考慮すると、金融機関からの与信枠に余裕はなく、なおかつ、連続赤字、実質債務超過である点も踏まえれば、新たな資金調達はきわめて困難な状態であったと推測できる。
・下表は、「実質自己資本比率」と「経常収支額」の倒産倍率を集計したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であると言えよう。

○卸売業における実質自己資本比率(集計期間:2013/4~2014/3)...2014/7 債務超過
実質自己資本比率全体債務超過0~10%10~30%30%以上
倒産倍率 1.00倍 2.71倍 0.92倍 0.52倍 0.45倍
○卸売業における経常収支(集計期間:2013/4~2014/3)...2期連続マイナス
経常収支全体2期連続
プラス
直近期プラス
・前期マイナス
直近期マイナス
・前期プラス
2期連続
マイナス
倒産倍率 1.00倍 0.63倍 1.24倍 1.80倍 2.36倍

4.総評

・本件は、利益率が低い業態において、業況の悪化に伴い新規事業の展開を図るも、事業が乗軌化せずに投資負担が資金繰りを圧迫し倒産に至ったケースである。
・利益率が低い業種においては、黒字確保による資本の蓄積が乏しく、自己資本比率などが低調な状態になりやすく、資金繰りにおいても脆弱な状態に陥りやすい。
・かかる状況下においては、資金調達において、事業背景、資産背景などから金融機関から十分な与信を得られる状態にあることが重要と言える。本件においては、今回のケースにおいては、資産背景が乏しいことに加え、赤字の連続計上による、実質的な債務超過状態にあることで、金融機関からの与信が得られにくい状態にあったことが推測される。
・多くの企業において、金融支援は生命線と言える。本件は、その観点について目を向け分析を行うことで、倒産を検知することが可能であったケースと言えよう。

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