月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】㈱福知商会

2015年11月27日更新

1.会社概要、倒産経緯

・1946年創業の自転車卸売業者。自社企画商品を中国で生産することで、安価な価格設定を実現し、中国・九州地方の大手スーパーマーケット等を主力取引先として、事業を展開していた。
・近年、中国における人件費高騰等により仕入コストの上昇を余儀なくされてきたが、コスト上昇を販売価格に転嫁することが困難であるために、収支は悪化し資金繰りは厳しい状態に陥っていた。
・かかる中、コストの上昇に、競合激化による売上低下が相俟って赤字体質が続いたことから、資金繰りが限界を迎え今回の措置に至った。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
借入
依存度
(%)
手形
割引率
(%)
2014/9 1,403.7 ▲44,492 ▲58,974 1.2 3.6 7.6 1,178.1 75.4 94.5
2013/9 1,547.3 ▲99,496 ▲112,774 ▲24,175 3.2 7.5 1,271.8 76.5 95.3
2012/9 1,712.3 0.8 ▲10,981 0.4 4.8 6.9 1,362.1 72.5 95.3
2011/9 1,680.4 6.2 ▲4,954 0.2 4.5 7.1 1,431.0 69.9 93.9
2010/9 1,653.1 4.4 ▲8,680 0.2 4.7 6.7 1,362.4 67.2 96.2
2009/9 1,673.2 ▲9,279 ▲21,122 0.2 5.0 6.2 1,286.7 67.1 0.0
2008/9 1,606.2 ▲58,389 51.8 3.1 4.5 6.9 1,424.8 64.3 86.3
2007/9 1,454.0 6.6 ▲4,428 0.8 5.0 7.1 1,232.9 70.1 94.4
2006/9 1,320.5 10.4 2.3 1.0 5.6 6.8 1,068.1 70.2 84.4
2005/9 1,179.4 ▲4,605 ▲9,648 ▲7,642 5.7 7.5 1,049.2 69.8 75.4

コメント

・2012/9期まで増収基調が続いたものの、2013/9期以降は減収、営業赤字転落など、業績は悪化していた。
・また、借入過多によって支払利息が多額に発生していたことから、経常赤字が常態化していた。
・最終利益では黒字計上しているものの、債務免除益など資金流入が伴わない収益によるものであったことから、厳しい資金繰り状態は是正されていない状態であったと思料される。
・当社の資金繰りの厳しさは手形割引率にも表れており、2010/9期以降は90%を超える水準で推移している。

3.データの分析

・本ケースを分析する財務指標として、「借入依存度」および「手形割引率」に注目した。
・当社は事業収益によって現金創出ができていないことから、運転資金などを金融調達する必要があったと考えられる。
・金融調達の観点から資金繰りの良否を探る指標としては、借入依存度や、手形割引率が挙げられよう。
・当社においては、設備投資のための資金や運転資金を銀行借入で賄っていたことから、借入依存度は70%超と高い水準で推移している。
・そして借入依存が高まったことで金融調達も限定的となり、手形割引による資金調達に依存することとなったために、手形割引率においても90%超の高い水準で推移する結果になったものと考えられる。
・下表は、各データの倒産倍率を集計したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であるといえよう。

○借入依存度(集計期間:2014/10~2015/9)...2014/9期 75.4%
借入依存度全体0~40%40~50%50~60%60~70%70%以上
倒産倍率 1.00倍 0.66倍 0.59倍 0.88倍 1.14倍 1.96倍
○手形割引率(集計期間:2014/10~2015/9)...2014/9期 94.2%
手形割引率全体0~60%60~70%70~80%80~90%90%以上
倒産倍率 1.00倍 0.81倍 1.19倍 1.44倍 2.46倍 3.73倍

4.総評

・本件は、決算書上は黒字でありながらも、実際のキャッシュ・フローにおいては現金の流出が続いていたため、資金繰りに窮し、倒産に至ったケースである。
・当社の決算においては、最終利益において少額の黒字が計上されているが、経常利益を見てみると赤字計上が散見される。経常利益が赤字であっても、最終利益が黒字になる過程で現金を獲得できていれば資金繰り上で大きな問題にはならない。しかし、当社のように債務免除益などによって黒字化している場合には、実際には現金は流入しておらず、むしろ事業による赤字分の資金流出が生じていることになり、結果として資金繰りは悪化することとなる。
・本件のようなケースにおいては、最終利益のみならず、経常利益や営業利益の段階から利益状態を確認し、事業において現金を獲得できていない恐れがある場合には、借入依存度や手形割引率などを駆使して、企業の資金調達状況を把握することで、いち早く倒産を予見することができよう。

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