月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】都スチール(株)

2016年3月25日更新

1.会社概要、倒産経緯

・2001年創業。中堅ゼネコンを中心に民間のビルや施設の鋼構造物工事を主体に手掛け鋼材の加工販売も行っていた。
・2014/2期に約25億円の売上高を計上するものの、翌年には、請負工事の進捗遅れなどから売上高は21億円に留まり、販売管理費の増加なども相俟って、採算は徐々に悪化していた。採算悪化に伴い資金繰りは厳しい状態となり、金融機関への支払延期等を要請するも、資金繰りに行き詰って今回の措置となった。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
配当自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
売掛債権
回転期間
(ヵ月)
経常収支
(百万円)
2015/2 2,121.6 4.4 5.3 4.0 1.9 2.4 1,661.4 8.0 ▲74.1
2014/2 2,553.4 5.6 6.3 4.6 1.7 1.6 1,610.6 7.0 ▲194.4
2013/2 2,143.9 8.9 7.3 5.2 1.9 1.2 1,223.4 6.1 ▲74.8
2012/2 1,962.7 8.2 6.4 4.6 2.4 0.7 726.7 3.6 166.4
2011/2 1,076.4 5.1 2.6 1.8 3.1 2.7 411.0 3.7 ▲144.5
2010/2 1,043.9 4.6 1.5 0.8 1.5 1.6 716.8 6.9 ▲69.4
2009/2 961.8 36.5 31.9 2.7 1.0 2.6 1,056.7 10.0 243.4
2008/2 596.7 70.2 63.4 0.1 1.5 4.8 493.3 8.5 ▲15.3
2007/2 518.0 90.8 85.7 0.5 2.0 3.5 368.1 6.9 -
2006/2 97.5 - - ▲0.5 - - 764.7 - -

コメント

・創業から2014/2期までは、売上を着実に伸長させてきたものの、営業利益率(0.2%)は業界水準(4.2%)に比し、大幅に低い水準で推移しており、自己資本においても利益の蓄積が乏しかったために、低水準を余儀なくされていた。
・2009/2期以降は、リーマンショックに伴う景気後退により競合が激化したことから、利益率を度外視した受注活動によって、売上高を維持せざるを得なかった状態であったものと考えられる。
・経常収支額は、過去8期のうち6期においてマイナスであり、資金流失が続いていた。

3.データの分析

・本ケースを分析する指標として「売掛債権回転期間」と「経常収支額」に注目した。
・本件の売掛債権回転期間(8ヵ月)は、業界平均(1.5ヵ月)に比べてきわめて長期である。
・売掛債権回転期間の長期化の原因としては、回収サイトの長期化や決算粉飾における売掛債権の水増しが考えられるが、受注環境が厳しい中、毎期着実に黒字を確保しつつも倒産に至ったことを考慮すると、本件では、そのいずれも生じていたものと考えられる。
・売掛債権の推移に対して買掛債務も同様に増加している点、近年では売掛債権回転期間の長期化に伴って経常収支額がマイナスになっている点等を考慮すると、回収サイトの長期化が資金繰りの逼迫に繋がる大きな要因であったことがうかがえる。
・下表は、売掛債権回転期間と経常収支の倒産の倒産確率を集計したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であるといえよう。

○設備工事業における売掛債権回転期間(集計期間:2014/4~2015/03)・・・2015/2期 0.8ヵ月
売掛債権回転期間全体0~2ヵ月2ヵ月~4ヵ月4ヵ月~6ヵ月6ヵ月以上
倒産倍率 1.00倍 0.73倍 1.20倍 1.98倍 4.82倍
○設備工事業における経常収支推移(集計期間:2014/4~2015/3) ・・・ 2014/2期・2015/2期 2期連続マイナス
経常収支推移全体2期連続
プラス
直近期プラス
・前期マイナス
直近期マイナス
・前期プラス
2期連続
マイナス
倒産倍率 1.00倍 0.70倍 1.10倍 1.07倍 2.30倍

4.総評

・本ケースは、決算書上は好調を装うも、実態は競合激化などで採算性の低い受注を余儀なくされるなど業績が悪化し、さらに回収条件の悪化によって資金繰りに負担が生じていたことで、最終的に資金繰りが破綻し,倒産に至ったケースである。
・損益計算書上で黒字を計上することは、事業を継続していく上で必要な要素ではあるが、黒字を計上してさえいれば事業が継続できるというものではない。本件のように債権の発生や回収のタイミングに大きな偏りがあったり、変動が大きい場合には、それに伴って資金の調達が必要となることが少なくない。資金調達の可能性に着目し、資金繰りについて分析する目を持つことが倒産を予見する上で重要といえよう。

∇PDFダウンロード

※PDFファイルをご覧いただくためには、Adobe Reader(無償)が必要です。Adobe Readerのダウンロードページよりダウンロードが可能です。

≪前のページへ戻る

情報発信

与信管理お役立ち

最新情報はこちら

リスク管理情報研究所
Risk Management Information Research Institute 〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町八番十八号
TEL:03-3231-0272

表示:スマートフォン | パソコン