月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】(株)電硝エンジニアリング

2016年5月27日更新

1.会社概要、倒産経緯

・1984年10月設立。半導体やLCD(液晶表示装置)製造措置の化学研磨、精密洗浄を手掛け、国内の有力企業を中心に受注基盤を構築。
・ピーク時(2013/9期)は売上高28億円を計上するも、翌期以降は主力取引先の受注減少の影響を受け、40%近く減収。
・過去の積極的な設備投資による借入依存で資金繰りは多忙な状況が続き、不採算事業の受注抑制や新規案件の確保など、立て直しを図ったものの回復には至らず、今回の措置となった。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
配当自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
運転資金
回転期間
(ヵ月)
経常収支
(百万円)
2015/9 1,405.9 44.0 5.4 ▲128.4 0.5 16.6 2,926.8 0.8 ▲43.2
2014/9 1,714.6 46.6 1.9 ▲16.1 4.3 13.6 3,300.7 0.7 ▲57.8
2013/9 2,808.5 63.2 9.1 ▲37.5 4.8 8.4 3,286.8 1.2 -
2012/9 2,437.4 195.1 179.6 105.0 5.3 9.7 3,670.4 3.9 -
2011/9 1,880.4 48.3 49.3 47.5 2.8 12.8 3,195.0 0.9 -
2010/9 1,625.5 85.8 48.3 10.2 1.4 14.4 2,993.0 1.5 -
2009/9 1,274.6 ▲208.6 ▲241.6 ▲294.1 1.1 19.0 2,980.0 ▲3.6 -
2008/9 1,702.8 107.2 71.4 5.8 10.4 15.0 3,126.4 2.1 -
2007/9 1,550.0 - - 8.6 13.4 - - 2.7 -
2006/9 1,177.1 102.6 71.7 29.3 7.5 13.4 2,083.6 1.0 -

コメント

・2010/9期以降は増収増益基調で推移し、業績回復傾向。
・しかしながら、2013/9期以降は、経常利益は大幅に減少し、さらに多額の特別損失計上により最終赤字が拡大。
・赤字の影響から自己資本も毎期大幅に減少しており、財務体力の悪化がうかがえる。

3.データの分析

・本ケースを分析する指標として、「役員報酬増減率」および「ICR(インタレスト・カバレッジ・レシオ)」に着目した。
・業績が著しく悪化した2013/9期より、コスト削減策として役員報酬の大幅な減額を実施することで、経常利益は低調ながら黒字を維持していた。
・また、ICR(支払利息が営業利益でまかなえているかを示す指標)は、2014/9期以降は1倍未満で推移している。支払利息が営業利益を上回っている状態が続いており、設備投資効果が得られていないことの裏付けともなっている。
このことからも、毎期、設備投資による借入の金利負担が重荷となっており、資金繰りは非常に厳しい状態であったと推測される。
・下表は、各データの倒産倍率を集計したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であるといえよう。

○ICR(集計期間:2015/04~2016/03)・・・ 0.8ヵ月
ICR全体営業赤字0倍~3倍未満3倍~10倍未満10倍以上
倒産倍率 1.00 1.68倍 1.52倍 0.57倍 0.24倍
○役員報酬増減率(集計期間:2015/4~2016/3) ・・・ 43.2%減少
役員報酬増減率全体10%以上減10%~1%減変動なし1%~10%増10%以上増
倒産倍率 1.00倍 1.88倍 1.17倍 1.18倍 0.47倍 0.56倍

4.総評

・受注額の増減が激しく、設備投資には慎重となる企業が多いといわれる金属製品製造業界において、当社は積極的に設備投資を行い、業績向上に結び付けてきた企業である。
・しかしながら、主力取引先からの受注減少により、売上高の維持が困難となる中、役員報酬のカットなどコスト削減を図るも、抜本的な改善には至らなかった。また、設備投資によって借入額は高止まり、重い弁済負担から、支払遅延も発生するなど、資金繰り多忙な状態から抜け出せず、倒産に至ったケースである。
・本ケースは、業績の変動および、自己資本比率や借入依存度など主要財務指標の分析、また、不安情報が散発していたことからも倒産の予測は容易であったが、上記のように、コスト削減を進めていることや、借入利息が過大である状況を捉え、さらにデータ分析を行うことで倒産の危険性を読み取ることができたであろう。

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