月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】東昭建設(株)

2016年6月24日更新

1.会社概要、倒産経緯

・1949年設立の建設業者。当初は土木工事を中心としていたが、工場や商業施設などの大型施設の建設にも進出し、地場でも大手の総合建設業者に成長した。その後、関係会社を含めて、幅広い分野で事業展開を図っていた。
・やがて、公共工事の削減を機に、民間事業にシフトしたが、結果として運転資金が増加したことで、資金繰りが悪化し、金融機関からの借入への依存度が高まっていった。
・かかる状況において、2013/2には、主力金融機関がサービサーに融資債権を譲渡したことにより、資金調達が困難となり、資金繰りが限界に達し、今回の措置となった。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
配当自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
現預金
借入比率
(%)
借入
依存度
(%)
2015/5 1,870.0 21.4 11.8 ▲43.7 9.8 4.2 932.8 2.7 70.0
2014/5 2,229.0 22.7 13.6 ▲34.5 9.3 3.8 1,455.0 9.9 47.9
2013/5 1,870.1 18.8 9.5 9.2 12.8 5.0 1,319.6 17.0 58.8
2012/5 1,772.7 36.9 39.3 26.7 11.2 6.3 1,397.2 2.2 65.2
2011/5 1,423.5 44.0 28.4 21.3 6.9 13.7 1,922.5 13.2 84.2
2010/5 2,801.0 136.1 21.7 20.8 3.3 12.9 3,444.1 3.1 87.3
2009/5 3,138.5 94.9 10.1 9.4 2.7 11.3 3,309.1 5.2 85.8
2008/5 3,360.5 102.6 15.8 1.3 2.6 9.4 3,102.6 3.0 85.0
2007/5 3,563.8 79.0 9.8 ▲19.7 2.9 7.5 2,804.9 4.5 79.3
2006/5 3,222.0 139.7 77.5 51.3 3.4 8.4 2,934.2 33.6 76.9

コメント

・営業利益、経常利益は、毎期黒字を計上していたが、2014/5期と2015/5期は運転資金を確保するために社有不動産を売却した結果、固定資産売却損の影響で、2期連続の当期赤字を計上していた。

・運転資金の増加を、金融機関からの借入により賄っていたため、借入依存度が高水準となっていた。

3.データの分析

・本ケースを分析する指標として「現預金借入比率」と「借入依存度」に着目した。

・現預金借入比率(2.7%)は、業界平均(117.3%)、倒産企業平均(29.6%)と比較して、きわめて低水準であった。

・現預金は、借入金の40分の1と、調達金額に対して手元資金が著しく少なく、資金繰りは余裕がない状態であったと考えられる。

・未成工事支出金が未成工事受入金よりも4億円以上多く、この分の運転資金需要を借入金で賄っていたことで、借入水準が高水準となっていた。

・下表は各データの倒産倍率を集計したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であるといえよう。

 

○総合工事業における現預金借入比率(集計期間:2015/4~2016/3)・・・2015/5期 2.7%
現預金借入比率全体~10%10~50%50~100%100%以上
倒産倍率 1.00倍 2.63倍 0.98倍 0.52倍 0.35倍
○総合工事業における借入依存度(集計期間:2015/4~2016/3) ・・・ 2015/5期 70.0%
借入依存度全体~20%20~50%50~70%70%以上
倒産倍率 1.00倍 0.74倍 0.65倍 0.95倍 1.79倍

4.総評

・公共事業の削減を機に、民間事業に進出したことで、資金需要が高まり、金融調達への依存も高まっていた。かかる中で、金融機関からの与信が低下し、支援を打ち切られたことをきっかけに、資金面と信用面において経営的に困難な状況に陥り、倒産に至ったケースである。

・金融支援打ち切り後も、社有不動産の売却により、運転資金を確保し、なんとか延命してきたが、最終的には支払遅延が頻発するなど、資金繰りが限界に達した。

・本ケースは、事業収益のみでなく、運転資金需要の発生や借入依存の観点から、資金繰りに注視することで、倒産の危険性を読み取ることができたと言えよう。

 

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