月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】(株)コンビック

2016年8月26日更新

1.会社概要、倒産経緯

・1998/12設立。首都圏を中心とした総合解体事業や足場・架設施工事業のほか、産業廃棄物の収集運搬業を展開。不動産売買事業への参入や、東日本大震災の復興需要に対応するため、仙台営業所を開設するなど業容を拡大していた。
・2015/8期に売上高22億円を計上し、規模を拡大していたが、業容拡大に伴い資金需要が増加し、借入金は膨らんでいた。
・かかる中、関連会社㈱勝建において元従業員による不正な資金流出が発覚、当社においても粉飾を疑われたため、金融機関からの資金調達が困難となり、事業を停止、破産手続きの準備に入っている。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
配当自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
借入
依存度
(%)
実質自己
資本比率
(%)
2015/8 2,231.8 37.4 15.9 8.0 10.7 4.2 1,094.0 64.4 ▲6.8
2014/8 2,004.6 76.9 66.6 6.2 11.9 3.4 956.2 56.0 ▲24.2
2013/8 1,729.4 26.9 20.1 4.1 13.4 3.5 807.3 58.1 ▲19.1
2012/8 1,471.1 24.0 17.8 7.6 14.6 3.1 699.6 50.3 ▲33.6
2011/8 1,281.1 3.1 ▲1.3 1.7 23.0 3.2 616.8 53.8 ▲2.8
2010/8 1,176.2 ▲17.4 3.8 5.4 19.5 4.4 724.7 57.8 ▲12.3
2009/8 1,113.0 25.4 23.3 9.1 24.3 3.2 551.9 52.9 12.3
2008/8 1,265.7 6.0 3.9 5.4 21.5 3.2 602.0 55.4 9.9
2007/8 1,261.4 36.8 36.2 24.2 22.6 2.4 547.2 46.6 16.7
2006/8 1,005.9 0.0 0.0 27.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

コメント

・業種柄、売上高や売掛債権の増減が生じやすいが、当社においては、2009/8期以降、6期連続で増収となっており、売掛債権においても、5億円~5.5億円で安定していた。
・毎期黒字を計上していたものの、借入金の増加により、2011/8期以降、自己資本比率は低下していた。
・増収で推移し、黒字を確保、借入が過大であるという状況を考慮すると、民事再生手続が想定されるケースであるが、破産手続の準備に入っていることから、表見上の数値とは実態が乖離していた可能性が懸念される。

3.データの分析

・本ケースを分析する指標として、「借入依存度」および「実質自己資本比率」に着目した。
・売上の拡大に伴い、運転資金は、2013/8期の3.2億円から、2015/8期には4.7億円と1.5億円増加した。運転資金需要の増加に伴い、借入金は、5億円から7.8億円と2.8億円増加しており、借入依存度は約65%と高い水準となっていた。固定資産2.3億円と比較しても借入は過大であり、追加の資金調達は厳しい水準であったことが見て取れる。
・資産性に懸念のある勘定が自己資本以上にみられたことから、実質自己資本比率が-6.8%となっている。短期貸付金の資産性に懸念があるものと考えれば、既述の通り、運転資金の増加額に対して、借入金の増加額は1.3億円多く、短期貸付金の額(1.4億円)とほぼ等しいことから、借入金の一部が関連会社への貸付金として運用されていた可能性が懸念される。
・下表は、各データの倒産倍率を集計したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であると言えよう。

○識別・設備工事業における借入依存度(集計期間:2015/04~2016/03)・・・2015/08期 64.4%
借入依存度全体20%未満20%~40%40%~60%60%以上
倒産倍率 1.00倍 0.80倍 0.52倍 0.65倍 1.59倍
○識別・設備工事業における実質自己資本比率(集計期間:2015/04~2016/03)・・・2015/08期 -6.8%
実質自己
資本比率
全体債務超過10%未満10%~30%30%以上
倒産倍率 1.00倍 1.65倍 0.77倍 0.52倍 0.72倍

4.総評

・運転資金を借入金に依存していたことに加え、不透明な資金用途としても流用されていたと考えられることから、借入が過大な水準で推移していた。かかる中、金融機関からの資金調達が困難となったため、倒産に至ったケースである。
・当社の業績推移を考慮すると、通常であれば破産手続の選択は考え難いため、決算操作の疑いも懸念される。業種特性上、売上や工事未収入金などの売掛債権は増減して推移するが、当社は一貫して増収で推移し、売上の変動に比べ、売掛金勘定は大きな変動なく推移していた。これらの動きから架空に売掛債権を計上し、売上を水増ししていた可能性も懸念される。
・増収に伴い運転資金が増加しているが、運転資金の増加分以上に借入金が増加しており、必要資金以上に借入を行っていることに着目することで、不自然な資金の流れに気付き、倒産の兆候を読み取れたケースといえよう。

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