月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】(株)マリン企画

2016年9月30日更新

1.会社概要、倒産経緯

・1971/10設立。マリンスポーツ関連の雑誌、書籍の老舗専門出版社。月刊「サーフィンライフ」、季刊雑誌「グライド」などサーフィンやウィンドサーフィンの専門雑誌を出版するほか、ファッションやアート関連の出版物も手掛けていた。
・ピーク時には約30億円の売上高を計上したが、マリンスポーツ人口の減少や出版不況から雑誌、書籍の販売が低下し、業績が悪化、多角化を図り、リゾートやレストラン経営を手掛けるも奏功せず、2015/4期の売上高は約2億円に落ち込んでいた。
・経営の悪化が続く中、借入金の返済が困難となり、関連の㈱エムピーシーと共に、今回の措置となった。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
配当自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
5期平均
増減収率
(%)
棚卸資産
回転期間
(ヶ月)
2015/4 215.0 3.9 5.1 4.8 - 31.4 19.6 617.6 ▲29.8 8.7
2014/4 260.3 ▲0.0 ▲2.2 ▲3.9 - 29.3 16.7 645.0 ▲29.7 8.7
2013/4 300.0 - - ▲19.0 - - - ▲37.6 -
2012/4 358.1 - - 4.3 - - - - -
2011/4 398.9 - - ▲12.1 - - - - -
2010/4 535.0 - - ▲4.0 - - - - - -
2009/4 810.0 - - - - - - - - -
2007/4 799.1 14.4 4.5 11.6 22.4 9.6 959.6 ▲5.5 2.5
2006/4 810.8 10.7 3.7 4.9 23.6 8.6 894.9 ▲10.5 2.5
2005/4 793.1 - - ▲33.0 - - - ▲19.4 -

コメント

・売上高は大幅な減少が続き、2015/4期では10年前の4分の1程度の水準となっている。業界環境の悪化に伴う継続的な減収のほか、赤字を散発するなど、業績は不安定に推移していた。
・業種的特徴として、支払いが回収より先行するため、運転資金需要が生じることに加え、バブル期に取得した不動産を主因に、借入が過大な水準となっていた。
・自己資本比率は30%超と表見上は安全な水準であるが、棚卸資産回転期間が長期化し、不良在庫が懸念される点や、バブル期に取得したとされる不動産の時価を考慮すると、財務は脆弱であったことが予想される。

3.データの分析

・本ケースを分析する指標として、「5期平均増減収率」および「棚卸資産回転期間」に着目した。
・出版業においては、書籍・雑誌の売れ残り分は返品されることが一般であり、雑誌の返品率は40%近い水準となる。当社においても同様な状況にあり、約2億円が売上値引戻り高として計上されていることから、返品率は50%近い水準であった。6期連続で二桁減収を余儀なくされていた点から、販売不振が深刻化していた様子が見て取れる。
・約50%の返品率であったことから、売れ残りが在庫として蓄積され、棚卸資産回転期間は8.7ヵ月と長期化している。業界の平均的な回転期間が2ヵ月程度であることを考慮すると、長期化している6.7ヵ月分、約1.2億円は不良在庫化していたと考えられる。
・下表は、各データの倒産倍率を集計したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であると言えよう。

○5期平均増減収率(集計期間:2015/04~2016/03)・・・2015/04期 -29.8%
5期平均
増減収率
全体30%以上
減収
10~30%
減収
10%減収~
10%増収
10%以上
増収
倒産倍率 1.00倍 2.98倍 1.52倍 0.75倍 0.42倍
○棚卸資産回転期間(集計期間:2015/04~2016/03)・・・2015/04期 8.7ヶ月
棚卸資産
回転期間
全体2ヶ月未満2~4ヶ月4~6ヶ月6ヶ月以上
倒産倍率 1.00倍 0.89倍 1.61倍 2.16倍 2.31倍

4.総評

・業界環境の悪化によって減収に歯止めがかからない中、借入の返済負担が資金繰りを圧迫し、倒産に至ったケースである。ここ20年近く雑誌の販売部数は減少が続く中、当社においては、読者人口の減少が進むマリンスポーツ関連雑誌を主力としていたため、さらに厳しい経営環境を強いられていた。
・返品された雑誌が不良在庫として蓄積され、不動産の実態価値が乏しかったと推測されるなど、財政面は見かけほどの安定性がなかったと思料される。さらに、借入は年商規模を上回っており、収益力を考慮すると返済もままならない状態であった。
・本ケースは、売上の推移から業績の悪化が読み取れるだけでなく、回転期間分析により、実態財務の脆弱性を明らかにすることで倒産の兆候を捉えることができたケースといえよう。

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