月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】石橋理化工業(株)

2016年10月28日更新

1.会社概要、倒産経緯

・1960年設立の非鉄金属製造業者。主に産業機械向けのアルミダイカスト製機械部品を製造し、2006/12期には売上高22億円を計上していたが、リーマンショックの影響で取引先の業績が悪化、海外への工場移転も裏目となり、当社の受注は減少し、赤字が常態化していた。
・かかる中で、過去の多額の借入金が資金繰りを圧迫し、2011/12期には中小企業再生支援を利用するも、金融機関から自力再建は困難と判断されたことで、資金調達が困難となり、今回の措置となった。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
配当自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
粗利益率
(%)
借入
返済年数
(年)
2015/12 1,168.6 1.8 ▲5.0 ▲4.8 ▲47.9 7.9 685.8 7.9 699.0
2014/12 1,123.1 ▲40.0 ▲56.2 ▲50.2 ▲45.2 8.0 714.4 4.6 999.9
2013/12 1,105.2 ▲89.1 ▲50.0 ▲60.3 ▲37.3 8.0 714.6 0.5 54.4
2012/12 1,235.4 ▲49.6 ▲69.3 ▲78.9 ▲29.7 7.6 753.6 5.4 52.8
2011/12 1,255.6 36.8 4.1 0.1 ▲16.2 7.6 899.9 11.0 999.9
2010/12 1,180.3 ▲58.1 ▲71.1 ▲70.8 ▲16.9 7.7 822.9 4.6 999.9
2009/12 912.7 ▲273.1 ▲270.3 ▲316.0 ▲8.0 10.4 922.9 ▲17.8 999.9
2008/12 1,760.4 ▲119.6 ▲124.8 ▲100.7 16.6 5.9 1,436.8 1.1 999.9
2007/12 1,995.6 0.4 ▲17.1 4.4 20.2 5.4 1,795.2 7.6 24.4
2006/12 2,220.7 10.9 1.8 5.7 18.0 5.0 1,935.2 8.1 21.1

コメント

・受注環境が厳しくなった2008/12期以降は、赤字を頻発する状態であった。
・赤字の影響から、自己資本は毎期大幅な毀損を余儀なくされ、2009/12期以降は債務超過状態で推移していた。
・また、借入月商比は高い水準にあり、借入返済年数が長期間となっていたことからも脆弱な財政状態が読み取れる。

3.データの分析

・本ケースを分析する指標として、「売上高総利益率(粗利益率)」および「借入返済年数」に着目した。
・当社における売上高総利益率は、過去10年間の最高値が11.0%、平均では5.6%と、業界水準(15~18%)に比べ、低い水準であったことに加え、毎期の変動が非常に大きかったことが大きな特徴といえる。売上高総利益率は、事業において最も基礎となる利益であることから、一定水準を安定的に確保しておくことが重要となる。特に製造業においては、製造原価率の僅かな増減が利益に大きな影響を及ぼすため、本ケースのように売上高総利益率が乱高下する状態は、経営を不安定にする大きな要因であったと考えられる。
・売上高総利益率を十分に確保できなかったことで、経常利益においても赤字が続いたため、年間CFはマイナスで推移していた。借入過多の状態である中、返済原資が確保できず、借入返済年数は長期化していた。
・下表は、各データの倒産倍率を集計したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であるといえよう。

○製造業における売上高総利益率(粗利益率)別倒産確率(集計期間:2015/04~2016/03)・・・2015/12期 7.9%
粗利益率(%)全体0%未満0~10%
未満
10~20%
未満
20%以上
倒産倍率 1.00倍 6.56倍 1.29倍 0.98倍 0.83倍
○製造業における借入返済年数別倒産確率(集計期間:2015/04~2016/03)・・・2015/12期 699.0年
借入返済年数(年)全体0~15年未満15~30年未満30年以上赤字
倒産倍率 1.00倍 0.34倍 0.58倍 1.66倍 2.92倍

4.総評

・本件は、売上の減少によって、固定費が収益を圧迫したため、利益の確保が困難となり、借入の返済に窮し、資金繰りが限界に達したケースである。
・斯業界は、装置産業であるため、設備投資に伴い生じる借入利息の支払いなどの投資費用が固定費となることから、投資費用を賄えるだけの収益を安定的に確保することが事業継続における重要なポイントとなる。本件においては、もともと採算性に難がある中で、十分な売上高を確保できずに赤字頻発を余儀なくされ、金融機関からの与信が低下したことで資金調達が困難となり、破たんに至った。
・本ケースでは、業績の変動からも倒産の予測は容易であったが、上記のように事業特性から収益構造を把握し、データ分析を行うことで、倒産の危険性を読み取れることができたといえよう。

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