月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】(株)グランツ

2016年11月25日更新

1.会社概要、倒産経緯

・1999年設立の住宅設備機器販売業者。2010年頃から太陽光発電事業に注力し事業を拡大してきた。
・2014/10期には、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」(FIT制度)を追い風に、売上高17億円まで拡大したが、その後、競合の乱立や、電力固定買取価格の引き下げなどから、業況は急速に悪化していった。
・かかる中、主要販売先に対する多額の貸倒れなど支払遅延が慢性化したことで資金繰りが逼迫し、今回の措置に至った。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
配当自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
経常収支
比率(%)
売掛債権
回転期間
(ヵ月)
2015/10 1,083.7 ▲3.3 13.4 3.7 22.3 6.2 1,566.7 75.0 13.5
2014/10 1,714.5 27.1 52.0 32.8 25.5 3.0 1,345.2 104.9 5.1
2013/10 1,505.6 30.1 24.7 10.6 24.1 4.4 1,286.5 98.3 6.6
2012/10 929.0 12.9 8.0 3.4 32.8 6.8 915.4 80.4 6.6
2011/10 1,034.2 20.1 16.3 9.8 36.3 4.2 817.1 - 4.3
2010/10 - - - - - - - - - -
2009/10 820.0 - - 14.6 - - - - - -
2008/10 591.0 - - 19.1 - - - - - -
2007/10 350.0 - - - - - - - - -
2006/10 - - - - - - - - - -

コメント

・売上高は、2007/10期から2014/10期までの7年間で、5倍に急拡大していたが、2015/10期には、36.8%減の大幅減収となり、営業赤字に転落した。
・2015/10期には、売掛債権回転期間が5.1ヵ月から13.5ヵ月まで長期化すると、経常収支比率は75.0%まで急低下し、資金繰りが急激に多忙となった様子が窺える。

3.データの分析

・本ケースを分析する指標として、「売掛債権回転期間」および「経常収支比率」に着目した。
・本件の2015/10期における売掛債権回転期間は、13.5ヵ月と非常に長期化している。業界平均2.2ヵ月と比較すれば、明らかに異常な水準と言える。実際に倒産の直因となったのは、多額の貸倒れ発生である。当該取引先の直近決算情報において、買掛債務回転期間は11.5ヵ月まで長期化しており、当社の回収長期化と重なっていることが分かる。
・営業活動における現金の収支比率である経常収支比率は、75.0%まで低下しており、資金繰りが悪化している様子を窺うことができる。
・下表は、各データの倒産倍率を集計したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であるといえよう。

○職別・設備工事業における売掛債権回転期間別倒産確率(集計期間:2015/04~2016/03)・・・2015/10期 13.5ヵ月
売掛債権
回転期間(ヵ月)
全体0~3ヵ月3ヵ月~7ヵ月7ヵ月~10ヵ月10ヵ月以上
倒産倍率 1.00倍 0.98倍 1.48倍 5.06倍 8.41倍
○職別・設備工事業における経常収支比率別倒産確率(集計期間:2015/04~2016/03)・・・2015/10期 75.0%
経常収支比率(%)全体80%未満80%~90%90%~100%100%超
倒産倍率 1.00倍 2.85倍 2.33倍 0.96倍 0.86倍

4.総評

・本件は、近年、業績悪化の目立つ太陽光発電業界において、主要販売先に対する多額の未回収金発生によって、急速に資金繰りを悪化させ、倒産に至ったケースである。
・近年の当社業績推移は、売上に多少の波はありつつも、毎期黒字を計上し続けており、著しい業績悪化による資金繰り破綻というイメージは持ちにくい。しかしながら、財政面に目を向けると、2015/10期の売掛債権回転期間が13.5ヵ月と異常な水準まで長期化している点から、売掛債権の回収が進んでいないことを想定できる。一方で、主要販売先の決算書を確認すると、買掛債務回転期間の大幅な長期化が見られており、当社の決算状況と表裏一体の関係にあることが窺える。
・当社決算情報の変化のみでも、危険な兆候を感じ取るきっかけにはなるが、取引先の決算情報も併せて確認することで、より状況を正確に読み取ることが可能になり、倒産を予見することが容易になり得たケースと考えられよう。

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