月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】(株)ワールドワイドコーポレーション

2017年2月24日更新

1.会社概要、倒産経緯

・1985年設立の産業用電子部品卸業者。設立当初は、輸出入業務を手掛けていたが、取引先の海外進出に伴い、1995年に製造工場を上海に設立し、電子部品の製造を行っていた。
・その後、電子部品製造を行う海外現地法人を複数設立し、2006/4期には、66億円の売上高を計上していたが、同業他社との受注競争の激化や主力取引先からの受注の減少により、売上は低迷。2016/4期には、22億円にまで落ち込んだ。
・2015年には、海外現地法人設立により膨らんだ金融債務のリスケを金融機関に要請し、大阪府中小企業再生支援協議会の支援のもと再建策を講じるも、業績は回復せず、資金繰りが限界に達したことで今回の措置となった。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
配当自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
売掛債権
回転期間
(百万円)
ICR
(倍)

2016/4

2,225.2 6.8 10.3 7.2 17.4 9.4 2,573.7 6.0 0.99
2015/4 2,561.1 9.2 ▲ 27.3 ▲ 33.4 15.8 9.0 2,784.5 5.2 0.40
2014/4 2,777.5 40.3 13.2 9.3 19.5 6.7 2,430.8 3.6 1.30
2013/4 3,129.9 7.4 8.9 11.3 18.0 6.2 2,578.7 3.2 1.23
2012/4 5,070.2 8.2 15.8 38.0 17.0 4.1 2,757.8 2.9 1.41
2011/4 6,320.7 24.2 21.8 2.6 15.6 2.8 2,847.7 2.6 1.63
2010/4 6,332.0 23.2 28.5 36.5 13.9 3.0 3,273.7 3.0 1.76
2009/4 5,434.3 17.8 14.5 17.2 13.9 4.3 3,014.2 3.3 1.31
2008/4 5,965.5 23.4 30.2
10.4

13.9

3.6 2,893.4 2.8 1.68
2007/4 6,181.1 32.3 71.9 32.2 13.7 3.2 2,851.2 2.4 3.13

コメント

・売上高は、2011/4期より減少が続いており、2016/4期では、ピーク時の3分の1程度の水準となっている。

・近年は、2015/4期を除き、毎期黒字を計上しているものの、借入月商比は長期化を続けていたことから、借入返済能力は乏しく、資金繰りは厳しい状況であったものと思料される。

3.データの分析

・本ケースを分析する指標として、「売掛債権回転期間」および「ICR(インタレスト・カバレッジ・レシオ)」に着目した。

・大幅な減収が見られた2012/4期より、売掛債権回転期間の長期化が進み、2016/4期には、6.0か月に達している。この要因としては、主力取引先からの支払サイト延期要請や不良債権の増加が想定される。

・機械器具卸売業の平均的な売掛債権回転期間は2.3か月であり、長期化している3.7か月分の売掛債権(約6.9億万円)は資産性および回収可能性が懸念される。不良債権化が懸念される資産が自己資本(4.5億円)を上回っていることを考慮すると、財政状態は見かけよりも脆弱であったと思料される。

・ICR(支払利息が営業利益でまかなえているかを示す指標)は、2015/4期以降、1倍未満で推移しており、金利負担が重荷になっていたことが窺える。

・下表は、各データの倒産倍率を集計したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であると言えよう。

○売掛債権回転期間(集計期間:2015/4~2016/3)・・・2016/4期 6.0ヵ月
売掛債権回転期間全体ヵ月未満2ヵ月~4ヵ月4ヵ月~6ヵ月6ヵ月以上
倒産倍率 1.00 0.93倍 1.01 1.56 2.94
○ICR(集計期間:2015/4~2016/3)...2016/4 0.99倍
ICR全体営業赤字~1倍未満1~2倍未満2~3倍未満3倍以上
倒産倍率 1.00 1.79 1.41 1.10 0.44

4.総評

・本件は、借入の返済負担が重荷となる中、回収と支払のバランスが悪化し、倒産に至ったケースである。

・近年は、減収基調で推移しているものの、概ね黒字を計上し、一定の自己資本を有していたことから、一見したところでは、倒産の予兆を発見することは難しいように思われる。

・しかしながら、短期貸付金や未収入金などの「その他流動資産」は減収基調の中でも増加を続けており、これらは回収可能性が乏しく、経営状況は見かけ以上に厳しかったものと思料される。

・不良資産が増加する一方で、取引先の業績悪化に伴う受注減少と売掛債権の不良化で資金繰りはさらに悪化し、金融債務の借入負担が一段と重くのしかかったと考えられる。

・本ケースは、回転期間分析によって資産性及び回収可能性が懸念される資産を把握し、財政面に関する指標を用いて裏付けをとることで倒産の兆候を捉えることが可能であったといえよう。

6,320,729

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