月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】PVG Solutions(株)

2017年4月28日更新

1.会社概要、倒産経緯

・太陽電池セルなど太陽光発電製品の製造・販売を目的として2007/3に設立されたベンチャー企業。2012年の再生可能エネルギー固定価格買取制度(以下FIT制度)開始を契機とした太陽光発電ブームに乗り、ベンチャーキャピタルからの出資金や金融機関からの借入金を原資に業容を拡大していた。
・しかしながら、韓国・台湾・中国製の安価な海外製品の台頭や、政府政策による太陽光発電の固定買取価格引き下げに伴う市況低迷などで、採算は悪化していた。かかる中、自治体や財務省から工場不動産が差し押さえられるなど、資金繰りのひっ迫を露呈し、今回の措置に至った。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
配当自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
運転資金
回転期間
(ヵ月)
経常収支
(百万円)
2013/8 4,500.0 - - 9.1 6.0
2012/8 6,047.0 - - 13.7 5.5
2011/8 5,990.0 - - 12.4 5.0 7.4
2010/8 6,235.0 - - 4.3 3.8 6.1
2009/8 8,249.0 - - 0.2 3.3 7.7
2008/8 20,531.0 - - 5.2 2.9 7.3
2007/8 9,523.0 - - 4.9 2.9 6.5
2007/2 9,523.0 - - 10.2 2.6 4.3
2006/2 20,855.0 - - 10.4
2005/2 21,787.0 - - - - -

コメント

・2011/6、太陽電池関連製品の製造本格化のため、約20億円の工場を建設したほか、2012/12に北海道支
店を開設するなど、業容を拡大しており、以降の売上は急激に増加していた。
・業容を拡大する一方、工場稼働から5年経過後も大幅な赤字を計上しており、採算割れの状態が続いていた。
また、赤字の常態化により、2016/3期においては、債務超過の可能性が懸念される。

3.データの分析

・本ケースを分析する指標として、「当期利益率」に着目した。
・2012/3期は、粗利益の段階から大幅な赤字を計上している。製造業の場合、製造に関わる減価償却費は売上原価に含まれ、
2011年に稼働した愛媛工場の減価償却費が多額に計上されているために、粗利益の段階で大幅な赤字を計上したと推測される。
・工場の稼働によって、売上は急速に拡大したものの、2015/3期及び2016/3期とも大幅な赤字を計上している。工場設立から5年近く経過しても、設備投資に見合った収益を確保できていない実態が見受けられる。また、売上の伸長に伴って増加したコストを、事業収益で賄えていない様子がうかがえ、資金繰りは逼迫していたと思料される。
・官報に開示された2012/3期の自己資本額は、約8億円であるため、赤字が常態化していたことを考慮すると、2015/3期時点で
債務超過の可能性が高く、脆弱な財務状態であったと思料される。
・下表は、当期利益率の倒産倍率を集計したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であるといえよう。

○現預金回転期間(集計期間:2011/10~2012/09)・・・2012/10期 0.5ヵ月
運転資金回転期間全体1ヵ月未満1ヵ月~2ヵ月2ヵ月~3ヵ月3ヵ月以上
倒産倍率
○運転資金回転期間(集計期間:2011/4~2012/3) ・・・ 2012/10期 4.5ヵ月
運転資金
回転期間
全体2期連続
プラス
直近期プラス
・前期マイナス
直近期マイナス
・前期プラス
2期連続
マイナス
倒産倍率

4.総評

・太陽光ブームに乗じ、多額の設備投資を行って太陽光発電製品の製造を展開するものの、設備投資時に計画していた通りの
収益を稼ぐことができずに、逆に設備投資負担が重荷となったため、資金繰りに窮し、倒産に至ったケースである。
・固定買取価格の度重なる引き下げや、企業の相次ぐ新規参入などにより、淘汰される太陽光関連事業者は、2015年ごろから
急増している。斯業界においては、同業他社との競合激化で値引き要請に応じざるを得ない状況もみられ、経営体力が伴わ
ず、安易に参入した企業が、市況の変化に対応できずに倒産する傾向がみられる。本ケースにおいても、工場稼働から一定期
間経過後も大幅な赤字を計上しており、当初の投資計画通りに事業を展開できず、事業環境の変化に対応できなかった様子
がうかがえる。
・情報開示が乏しい企業であっても、業界動向や特性を把握することで、倒産兆候をつかめたケースといえよう。

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