・1953年設立の老舗和菓子製造販売業者。首都圏の有名百貨店を中心に、主力商品である「花園饅頭」などの販売を行っ
ていた。
・ピークとなる1994/6期には約42億円の売上高を計上していたが、消費低迷等による販売不振が続き、2017/6期の売上
高は約19億円にまで低下していた。
・2011/6期以降は営業赤字が続き、徐々に資金繰りが逼迫する中、所有不動産の売却等により運転資金を捻出してきたも
のの、業績悪化に歯止めがかからず、資金繰りも限界に達し、今回の措置になった。
・なお、破産手続き申請後、(株)銀座千疋屋のグループ会社がスポンサーとなり、和洋菓子製造販売事業を譲渡している。
決算期 | 売上高 (百万円) | 営業利益 (百万円) | 経常利益 (百万円) | 当期利益 (百万円) | 自己資本 比率(%) | 借入 月商比 (ヵ月) | 総資産 (百万円) | 支払 手数料比 率 (%) | 経常収支 比率 (%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2017/6 | 1,902.7 | ▲ 138.3 | ▲ 175.8 | 180.4 | 0.1 | 8.3 | 2,167.0 | 18.2 | 93.6 |
2016/6 | 2,011.1 | ▲ 121.6 | ▲ 162.3 | ▲ 190.4 | ▲ 7.8 | 8.3 | 2,270.7 | 17.2 | 95.1 |
2015/6 | 2,018.8 | ▲ 194.6 | ▲ 250.0 | 522.5 | 0.5 | 9.1 | 2,363.0 | 16.4 | 92.7 |
2014/6 | 2,122.6 | ▲ 215.3 | ▲ 280.4 | ▲ 341.2 | ▲ 15.2 | 18.6 | 3,354.8 | 17.2 | 94.8 |
2013/6 | 2,203.4 | ▲ 195.3 | ▲ 230.5 | ▲ 393.0 | ▲ 4.8 | 18.6 | 3,509.7 | 17.0 | 95.5 |
2012/6 | 2,354.3 | ▲ 68.1 | ▲ 62.4 | 193.0 | 5.8 | 18.0 | 3,884.0 | 17.6 | 98.8 |
2011/6 | 2,394.8 | ▲ 106.5 | ▲ 153.9 | ▲ 188.1 | 1.0 | 15.1 | 3,120.0 | 17.6 | 97.4 |
2010/6 | 2,543.6 | 61.6 | 4.0 | 179.0 | 7.4 | 12.3 | 2,955.1 | 16.8 | 101.3 |
2009/6 | 2,756.0 | 74.0 | 4.7 | ▲ 760.5 | 1.3 | 12.4 | 3,036.1 | - | 92.4 |
2008/6 | 3,009.3 | 84.2 | 1.5 | 4.3 | 19.4 | 11.7 | 4,130.3 | 16.2 | 113.0 |
・2008/6期以降、減収基調で推移し、2011/6期以降は7期連続で営業赤字を計上するなど、本業での業績
不振が見受けられる。
・2017/6期は固定資産売却により黒字転換し、債務超過を解消したが、自己資本は低水準であり、財政状態
は脆弱であった。
・本ケースを分析する指標として「支払手数料」と「経常収支比率」に着目した。
・当社は、首都圏の有名百貨店に出店し商品を販売しており、毎期販売管理費の約30%となる4億円内外の支払手数料を
計上していることから、百貨店に対して多額の手数料を支払っていたと思料される。
・売上高の減少に支払手数料の推移が伴っておらず、支払手数料の固定性がうかがえる中、売上高に対する支払手数料の
割合は年々上昇傾向にあり、2017/6期では18.2%に達していた。
・2017/6期にて支払手数料を維持しながら赤字を解消するためには、支払手数料比率は約15%に抑える必要があり、近年
は支払手数料が収支上の大きな負担となっていたことは明白といえる。
・上記に加え、経常収支比率は100%未満で、多額の支出を賄うだけの売上収入を確保できておらず、資金繰りは厳しい状
態であった。
下表は、各データの倒産倍率を集計したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であるといえよう。
経常収支比率 | 全体 | 90%未満 | 90%~100% | 100%~110% | 110%以上 |
---|---|---|---|---|---|
倒産倍率 | 1.00倍 | 2.84倍 | 1.64倍 | 0.62倍 | 0.912倍 |
・本件は、百貨店に依存した販売戦略を取っていたことで、百貨店の集客力低下と固定化した支払手数料が業績悪化につ
ながり、倒産に至ったケースである。
・販売先が百貨店であり、現金商売の小売業とは違って掛売りが中心であったことから、現金回収が遅くなっていたことも倒産
の一因であると思料される。
・近年は、業績の悪化に歯止めがかからず、毎期営業赤字を計上していたことや、債務超過に陥り、固定資産の売却を進め
ていた点をを考慮すると倒産の予測は容易であったといえよう。
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