月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】㈱ル・クール

2018年10月31日更新

1.会社概要、倒産経緯

・1999年設立の飲食店経営業者。東海地区を中心に、飲食店の立ち上げやコンサルティング業務を展開していた。2009年からオーダーバイキング形式レストラン「ヴォーノ・イタリア」の展開を開始するなど、積極的な出店によって事業を拡大していた。
・ピークとなる2013/6期には35億円超の売上高を計上し、当社単体では黒字で推移していたが、複数のグループ企業においては恒常的な赤字計上及び債務超過状態であり、グループ全体としての財政状態は脆弱であったと思料される。
・かかる中、当社においても借入金や未収金の急増によって資金繰りが悪化し、今回の措置に至った。なお、「ヴォーノ・イタリア」は他社に譲渡され営業継続中である。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
配当自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
借入
依存度
(%)
実質自己
資本比率
(%)
2017/6 2,842.8 167.4 79.4 29.3 6.3 5.4 2,059.2 62.4 ▲ 59.2
2016/6 2,806.6 125.8 44.9 25.8 8.0 3.5 1,253.3 64.6  ▲ 1.0
2015/6 2,419.9 68.5 33.6 12.7 5.2 2.6 1,048.0 50.0 ▲ 6.4
2014/6 2,900.7 31.2 7.9 ▲ 12.6 2.8 1.8 797.6 54.9 ▲ 15.6
2013/6  3,575.0 12.9 ▲ 11.3 0.1 5.5 1.3 633.2 59.1 ▲ 17.6
2012/6 1,849.3 24.2 27.7 7.5 9.9 1.5 347.1 64.8  ▲ 5.0
2011/6 616.2 16.5 22.0 14.4 15.5 1.8 173.5 52.6 ▲ 5.9
2010/6 170.0 6.8 7.2 5.5 14.7 1.4 37.5 51.2 ▲ 1.6
2009/6 10.9 3.2 3.1 3.1 0.9 4.5 4.9 82.3  ▲ 45.9
2008/6 3.1 0.2 0.2 0.2 ▲ 146.3 18.9 2.1 232.4 ▲ 312.9

コメント

・売上高は、2013/6期まで急拡大していたが、近年は横ばいで推移している。

・毎期、営業利益は黒字を確保しているものの、自己資本比率は一桁、借入依存度は50%を超える水準で推移しており、脆弱な財政状態であった。

・2017/6期には、短期貸付金など不透明な資産の増加により実質自己資本比率は大幅なマイナスとなった。

3.データの分析

・本ケースを分析する指標として「借入依存度」と「実質自己資本比率」に着目した。


・2016/6期から2017/6期にかけて、借入金約4億円の増加に対して、短期貸付金も約5億円増加している。FC加盟店の
開業支援や、債務超過状態であったグループ会社への資金援助を借入金で賄っていたことで、借入依存体質になっていた
と推察される。


・2016/6期に3億円弱であった売掛金、未収入金、短期貸付金の合計は、2017/6期に約10億円となっており、未回収金が
急増している。売上高は横ばいで推移しているため、FC店舗からのロイヤリティや貸付金の回収が滞っていた可能性や、グ
ループ企業への資金流出が懸念される。滞留債権を考慮すると財政面は脆弱な状態で、資金繰りは逼迫していたと思料さ
れる。


・下表は、各データの倒産倍率を示したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であると言えよう。よう。

○借入依存度(集計期間:2017/4~2018/3)...2017/6期 62.4%
借入依存度全体30%未満30%~60%60%~80%80%以上
倒産倍率 1.00倍 0.65倍 0.98倍 1.89倍 3.18倍
○実質自己資本比率(集計期間:2017/4~2018/3)・・・2017/6期 -59.2%
実質自己資本比率全体0%未満 0%~10% 10%~30% 30%以上
倒産倍率 1.00倍 1.87倍 0.59倍 0.49倍 0.58倍

4.総評

・本ケースは、収益面では一見相応の黒字を確保しているものの、債務超過状態のグループ会社への資金援助やFC店舗
拡大における借入金の増加により、資金繰りが逼迫し、倒産に至ったケースである。


・借入金の増加とともに、短期貸付金や未収入金が多額に生じており、当社を介してグループ企業へ資金が流出していたと
思料される。


・本ケースは、単体の業績だけではなく、借入金や使途不明な勘定科目が急増している様子や、グループ企業の業績及び財
政状態を捉えることで、倒産の兆候を把握することが可能であったと言えよう。

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