月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】㈱エム・テック

2018年11月30日更新

1.会社概要、倒産経緯

・1988年設立の総合工事業者。営業所の全国展開や破綻企業等に対する積極的なM&Aにより、事業規模を急拡大していた。

・近年は、東日本大震災の復旧工事や東京オリンピック関連施設等の公共工事を中心に受注を伸ばし、ピークとなる2015/7期には約245億円の売上高を計上していた。

・かかる中、2017/12に約10億円の貸倒れが発生。2018/3には、一部公共工事にて施工上の問題が発覚したことから、200以上の地方自治体から指名停止処分を受けた。貸倒れや受注難から資金繰りも限界に達し、今回の措置に至った。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
短期借入金
運転資金比率
(%)
当座比率
(%)
2017/7 24,427.0  573.0 340.0 158.0 25.6 3.9 20,938.0 1.5 0.7
2016/7 24,229.0 726.0  464.0 144.0 22.0 5.2 23,761.0 1.3 0.7
2015/7 24,569.0 1,938.0 1,708.0 106.0 22.8 6.0 23,761.0

1.0

0.7
2014/7 22,479.0 1,604.0 1,402.0 703.0 20.8 6.6 24,209.0 1.0 0.6
2013/7 20,597.0 1,257.0 1,150.0 504.0 24.3 4.2 17,980.0 0.8 0.7
2012/7 16,333.3  400.6 211.3 42.7 21.7 4.9 17,758.2 0.9

0.5

2011/7 16,660.4 553.6 659.5 955.7 28.3 4.0 13,575.8 0.8 0.5
2010/7 21,420.7 1,085.1 1,137.2 ▲ 306.9 22.5 2.7 14,396.9 1.1 0.4
2009/7 14,214.9 457.2 518.4 201.0 11.8 3.6 9,071.1 1.5 0.3
2008/7 11,694.1 469.8 538.8 112.4 10.0 4.4 8,947.5 1.1 0.5

コメント

・2013/7期以降、震災関連工事や東京オリンピック関連工事によって売上高は拡大していた。

・毎期、相応の黒字を確保しており、自己資本の蓄積が進んでいた。一方で、当座比率は100%を下回る水準で
推移しており、短期的な支払能力は低い状態にあった。

3.データの分析

・本ケースを分析する指標として「短期借入金・運転資金比率(=実質短期借入金÷正味運転資本)」と「当座比率」に着目した。

・手元現預金を考慮した実質短期借入金(=短期借入金-現預金)と工事に係る運転資金(正味運転資本)を比較すると、直近3期において、運転資金を超えた短期借入金が計上されている。事業規模に対し、短期借入金が多く、短期借入金返済負担が重い状態であった。

・かかる中、貸倒れ発生や相次ぐ指名停止により、短期借入金返済財源である売上代金の回収が滞り、資金繰りが一気に逼迫したと思料される。

・また、直近10期において、当座比率は100%を下回る水準で推移しており、短期的な支払能力は低い状態にあった。公共工事の積極受注によって業績を拡大する中、受注拡大に資金繰りが追いついておらず、財政状態が逼迫していた可能性が高い。

・下表は、当座比率の倒産倍率を示したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であると言えよう。

○当座比率(集計期間:2017/4~2018/3)...2017/7期 67.7%

当座比率全体70%未満70%~90% 90%~100%100%以上
倒産倍率 1.00倍 1.53倍 0.85倍 0.62倍 0.78倍

4.総評

・本件は、借入金の返済負担が重く、資金繰りに負担がかかる財政状態の中で、貸倒れの発生や指名停止に伴う公共工事の受注難によって、資金繰りが限界に達し、倒産に至ったケースである。

・当社は継続して黒字を計上しており、総借入金額も過大とは言えない水準であることから、一見すると倒産の危険が少ない決算内容に見える。しかし、短期借入金額が運転資金を超えた水準にあり、借入返済負担は重く、貸倒れや受注難が発生した際には短期間で資金繰りが破綻する可能性を秘めた危険な財政状態であったといえよう。

・本ケースは、増収、黒字基調にあっても、短期的な支払能力や借入金バランスの観点から、資金繰りを捉えることで、倒産の兆候を把握することが可能であったといえよう。

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