月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】SMART-INNOVATION㈱

2019年1月31日更新

1.会社概要、倒産経緯

・1965年4月に前身の旧㈱三貴を設立。「銀座じゅわいよ・くちゅーるマキ」「銀座ジュエリーマキ」の名称で全国に展開し、ピーク時の売上は1995/2期で1,853億円、店舗数は1,200店と国内最大手の業容とCM等の広告戦略に伴い高い知名度を誇っていた。
・しかし、多店舗展開に伴いバブル経済崩壊後は、売上がジリ貧となり、店舗設備投資や過大な在庫負担から、借入金は約1,664億円にまで拡大した。一部の債務がRCCに引き継がれていたことから、2001年3月に営業権を現㈱三貴に譲渡し、旧会社は特別清算を申請。
・現㈱三貴では、2004/2期に約250億円の売上高を計上したものの、リーマンショックによる消費低迷の影響から売上は失速し、2009年1月に民事再生手続を申し立てた。(負債総額117億円)
・その後、再生計画認可決定から3年経過後に民事再生手続が終結となるも、不採算店舗の閉鎖や更なる消費低迷の影響により、業績はさらに悪化した。収益の回復が見込めず、資金繰りは逼迫し、2度目の民事再生手続申立てに至った。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
借入
月商比
(ヵ月)
売上高
総利益率
(%)
2018/5 754.9  11.6 6.4 4.9 8.6 8.3 589.4  8.3 9.6
2017/5 215.2 6.8 6.0 4.6 81.2 0.0 56.4  0.0   26.5
2016/5 12.1  ▲ 12.4  ▲ 12.4 ▲ 12.6 70.7 0.0 58.2 0.0 33.3
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コメント

・増収基調で推移していたが、売上高の伸長に利益の伸長が伴わず、利益水準は低下傾向にあった。2018/5期の売上高総利益率は、10%を下回っていた。

・2018/5期には、仕入代金の支払いや製造外注費の支払いを借入で補うことで、借入金が急増し、財政バランスの悪化が窺える。

3.データの分析

・本ケースを分析する指標として「借入月商比」と「売上高総利益率」に着目した。

・大量生産を図るため、仕入原価4.4億円の増加に伴い、借入金が約5億円増加していることから、仕入代金の支払いや製造外注費の支払いを借入に依存していたと推察される。

・売上高総利益率の低下の要因としては、新製品開発の遅滞に対して、売上高の確保を優先するために、当初の販売予定価格よりも、安く販売したものと推察できる。その結果、コストの支払財源を確保できず、資金繰りが悪化したと考えられる。

・下表は、各データの倒産倍率を集計したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であると言えよう。

○製造業における借入月商比(集計期間:2017/4~2018/3)...2018/5期 8.3ヵ月
借入月商比全体2ヵ月未満2ヵ月~4ヵ月 4ヵ月~7ヵ月 7ヵ月以上
倒産倍率 1.00倍 0.51倍 0.62倍 0.85倍 2.00倍
○製造業における売上高総利益率(集計期間:2017/4~2018/3)...2018/5期 9.6%
売上高総利益率全体10%未満10%~20%20%~40% 40%以上
倒産倍率 1.00倍 1.87倍 0.61倍 0.90倍 1.08倍

4.総評

・本ケースは、製品価格の値下げを余儀なくされ、利益が当初の計画通りに確保できず、多額の製造費用の支払いに窮し、資金繰りが破綻したケースである。

・設立間もないベンチャー企業において、売上高の急増に反し、利益が確保できていないケースが散見される。その背景には、採算の悪い取引の実施や、商品を量産する中でトラブルが生じ、製造原価が嵩むといったことが考えられるが、当該企業は、新製品の開発に遅れが生じる中、採算の悪い取引を実施していたことが売上高総利益率の低下につながったと推察できる。

・売上高の急成長に捉われず、利益段階で相応の黒字を確保できていることを確認することで、資金繰りの悪化を察知することが重要である。

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