月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】(株)JNS

2019年12月27日更新

1.会社概要、倒産経緯

・2001年設立の設備工事業者。ゼネコンの下請け業者として、官民の電気設備工事や太陽光パネルの設置工事などを手掛け
ており、近年は、東京都下水道局案件などの大型案件の獲得を背景に業績を伸ばしていた。
・2019/3期には、ピークとなる6億3,288万円の売上高を計上する一方、業容拡大に伴う運転資金を借入金に依存する割合
が高まっていた。
・かかる中、当社の下請け先において施工ミスやトラブルが発生。施工ミスに係る追加コストが負担となり、急速に資金繰りが悪
化し、今回の措置となった。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
配当自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
棚卸資産
回転期間
(カ月)
借入返済
年数
(年)

2019/3

632.9 15.2 6.1 5.1 16.0 7.3 651.4 7.3 56.4
2018/3 602.9 12.5 6.2 5.3 18.8 6.0 526.2 6.0 53.7
2017/3 567.2 8.5 5.0 4.5 20.2 4.5 463.9 4.5 42.7
2016/3 550.4 9.3 4.0 3.5 17.1 3.8 520.1 3.8 35.5
2015/3 505.9 10.3 7.3 5.8 26.9 3.3 317.8 3.3 20.1
2014/3 388.1 6.2 4.4 3.5 28.7 2.7 277.6 2.7 26.0
2013/3 430.4 1.0 2.5 1.8 32.0 1.7 238.6 1.7 32.1
2012/3 400.0 0.6 0.2 0.2 27.8 1.0 268.0 1.0 346.9
2011/3 430.0 - - 0.2 - - - - -
- - - - - - - - - - -

コメント

・近年は増収増益で推移し、黒字を維持していたが、借入月商比や借入返済年数は長期化しており、売上高、
利益規模に対して、借入金負担が重いことがうかがえる。
・未成工事支出金の増加に伴い、棚卸資産回転期間は長期化傾向にあった。

3.データの分析

・本ケースを分析する指標として「棚卸資産回転期間」と「借入返済年数」に着目した。
・直近2019/3期において、棚卸資産回転期間は、7ヵ月を超える水準で推移している。棚卸資産の大半を占める未成工事支
出金が、売上高に対し過大であることを示しており、未成工事支出金の資産性が疑われる。期末の未成工事支出金を過大計
上することで、決算操作を行っていた可能性が懸念される。
・近年、借入返済年数は、50年を超える水準で推移している。借入に対する収益償還が厳しい状態が続いていたことが推察さ
れる。
・下表は、各データの倒産倍率を示したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であると言えよう。

○棚卸資産回転期間(集計期間:2018/4~2019/3)...2019/3月期 7.3カ月
棚卸資産回転期間全体1ヵ月未満1ヵ月~3ヵ月未満 3ヵ月~5ヵ月未満5ヵ月以上
倒産倍率

1.00倍

0.94倍 1.07倍 1.73倍 2.74倍
○借入返済年率(集計期間:2018/4~2019/3)...2019/3月期 56.4年
借入返済年率全体0~10年未満10~20年未満20~40年未満40年以上
倒産倍率

1.00倍

0.61倍 0.78倍 1.30倍 2.23倍

4.総評

・本件は、脆弱な財政状態の中、施工ミスに伴う資金負担の発生により資金繰りが限界に達し、倒産に至ったケースである。
・当社は増収基調で推移し、継続して黒字を計上していたが、未成工事支出金の推移からみて、決算操作が疑われ、実態の業
況は決算数値よりも厳しい状態であったと思料される。また、運転資金の多くを借入金に依存していたことからも、借入余力は乏
しく、資金繰りは厳しい状態であったと考えられる。
・本ケースは、増収、黒字決算であっても、資産効率や借入金バランスの観点から、収益実態や資金繰りを正確に把握すること
で、倒産の兆候を把握することが可能であったといえよう。

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