月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】(株)倉元製作所

2020年2月28日更新

1.会社概要、倒産経緯

・1975年設立、ジャスダック上場の液晶ガラス基板加工品製造業者。国内液晶パネルメーカーとの取引により事業拡大し、ピークとなる2002/12期には358億円の売上高を計上していた。
・しかし、近年は、海外メーカーの台頭に伴い、液晶パネル製造の中心が台湾、韓国、中国本土などにシフトし、国内主要顧客からの受注も減少。徐々に販路を失い、業績悪化を余儀なくされていた。
・かかる中、新規事業展開による収益源確保や工場閉鎖などによるコスト削減に努めたものの、収益改善には至らず、財政の抜本的な改善による経営再建を図るため、事業再生ADRの申請に至った。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
配当自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
流動比率
(%)
減収率
(%)

2018/12

1518.6 ▲198.1 ▲290.9 ▲290.8 ▲2.1 20.2 2653.0 32.2 ▲ 16.5
2017/12 1818.4 ▲144.3 ▲233.9 ▲216.3 8.4 15.5 2876.8 40.5 ▲ 26.0
2016/12 2455.7 ▲622.9 ▲674.2

▲503.3

11.3 15.5 4031.9 40.9 ▲ 15.8
2015/12 2914.9 ▲910.5 ▲979.6 ▲203.2 12.2 25.0 4875.7 29.6 ▲ 26.0
2014/12 3936.5 ▲482.8 ▲609.9 ▲568.9 16.4 17.7 8217.0 30.1 ▲ 25.6
2013/12 5291.2 101.2

53.3

147.1 20.0 14.0 9301.3 43.3 ▲ 12.5
2012/12 6046.4 224.2 98.5 196.1 16.4 13.7 10090.3 50.8 ▲ 7.7
2011/12 6552.4 454.2 290.7 ▲162.5 13.9 12.8 10359.9 48.3 ▲ 20.6
2010/12 8252.6 597.7 300.5 97.6 16.0 9.8 10094.3 49.4 ▲ 26.4
2009/12 11219.3 ▲505.1 ▲670.6 ▲1058.3

10.0

7.9 10600.8 32.8 ▲ 33.9

コメント

・事業環境の悪化に伴い、連続減収、連続赤字で推移していた。
・2018/12期は、債務超過に転落しており、上場廃止の猶予期間入りをしていた。

3.データの分析

・本ケースを分析する指標として「棚卸資産回転期間」と「借入返済年数」に着目した。
・直近2019/3期において、棚卸資産回転期間は、7ヵ月を超える水準で推移している。棚卸資産の大半を占める未成工事支出金が、売上高に対し過大であることを示しており、未成工事支出金の資産性が疑われる。期末の未成工事支出金を過大計上することで、決算操作を行っていた可能性が懸念される。
・近年、借入返済年数は、50年を超える水準で推移している。借入に対する収益償還が厳しい状態が続いていたことが推察される。
・下表は、各データの倒産倍率を示したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であると言えよう。

○○棚卸資産回転期間(集計期間:2018/4~2019/3)...2019/3月期 7.3カ月
棚卸資産回転期間全体1ヵ月未満1ヵ月~3ヵ月未満 3ヵ月~5ヵ月未満5ヵ月以上
倒産倍率

1.00倍

0.94倍 1.07倍 1.73倍 2.74倍
○借入返済年率(集計期間:2018/4~2019/3)...2019/3月期 56.4年
借入返済年率全体0~10年未満10~20年未満20~40年未満40年以上
倒産倍率

1.00倍

0.61倍 0.78倍 1.30倍 2.23倍

4.総評

・本件は、事業環境の変化や主要顧客からの受注減により、業績悪化に歯止めがかからず、私的整理に至ったケースである。
・当社は、自力での経営再建が見込めず、上場廃止が迫っていた。かかる中、再建型法的整理に比べ、事業価値の棄損が少なく、柔軟かつ迅速な対応が可能な事業再生ADR手続きを選択することで、事業継続と上場維持を実現しようとしたと思料される。
・なお、今回の事業再生ADR手続きは、金融債務の元本返済猶予を対象として進められ、商取引上の債務弁済に影響はない。

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