月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】(株)大沼

2020年3月31日更新

1.会社概要、倒産経緯

・1700年(江戸時代の元禄13年)創業の老舗百貨店。山形県唯一の百貨店として山形県内に店舗展開し、ピークとなる1993/2期には196億円の売上高を計上していた。
・近年、ファストファッション等専門店の台頭やeコマース市場の拡大により、業界全体として「消費者の百貨店離れ」が加速。当社においても、事業環境が悪化する中、拠点都市の人口減少や仙台市への買い物客流出も相まり売上高規模の縮小を余儀なくされた。
・経営悪化が続く中、事業再生ファンドからの支援を受けるも、ファンドによる出資金還流が発覚し、取引先や金融機関に信用不安が拡大。その後、ファンドとの関係を断ち、独自で不採算店舗の閉鎖等経営再建策を講じるも奏功せず、消費増税による市況の低迷も相まって資金繰りが限界に達し、今回の措置となった。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
配当自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
増減収率
(%)
地方百貨

売上高増
減率
(%)

2019/2

7,451.0 - - 1,053.1 - - - ▲ 8.4 ▲ 3.4

2018/2

8,135.0 - - ▲ 372.0 - - - ▲ 4.4 ▲ 2.3
2017/2 8,507.0 - - ▲ 352.0 ▲ 4.6 - - ▲ 4.7 ▲ 3.7
2016/2 8,923.0 - - ▲ 178.0 - - - ▲ 4.6 ▲ 3.0
2015/2 9,357.0 - - ▲ 123.0 - - - ▲ 5.4 ▲ 2.1
2014/2 9,891.0 - - 191.0 - - - ▲ 2.0 ▲ 1.0
2013/2 10,091.0 - - 52.0 - - - ▲ 0.4 ▲ 0.6
2012/2 10,131.0 - - 86.0 - - - ▲ 0.3 ▲ 2.2
2011/2 10,166.0 - - 55.4 3.0 - - ▲ 2.5 ▲ 3.5
2010/2 10,432.0 - - 50.0

-

- - ▲ 9.6 ▲ 9.5

コメント

・事業環境の悪化に伴い、長期間に渡り売上は減少し続け、2014/2期以降は、地方百貨店の売上高増減率を上回るペースで売上規模の縮小が進んでいた。
・2015/2期から4期連続で赤字を計上しており、業況の厳しさがうかがえる。2019/2期は大幅な黒字を計上しているが、固定資産売却などの特別利益によるものと思料される。

3.データの分析

・本ケースを分析する指標として「棚卸資産回転期間」と「借入返済年数」に着目した。
・直近2019/3期において、棚卸資産回転期間は、7ヵ月を超える水準で推移している。棚卸資産の大半を占める未成工事支出金が、売上高に対し過大であることを示しており、未成工事支出金の資産性が疑われる。期末の未成工事支出金を過大計上することで、決算操作を行っていた可能性が懸念される。
・近年、借入返済年数は、50年を超える水準で推移している。借入に対する収益償還が厳しい状態が続いていたことが推察される。
・下表は、各データの倒産倍率を示したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であると言えよう。

○棚卸資産回転期間(集計期間:2018/4~2019/3)...2019/3月期 7.3カ月
棚卸資産回転期間全体1ヵ月未満1ヵ月~3ヵ月未満3ヵ月~5ヵ月未満5ヵ月以上
倒産倍率

1.00倍

0.94倍 1.07倍 1.73倍 2.74倍
○借入返済年率(集計期間:2018/4~2019/3)...2019/3月期 56.4年
借入返済年率全体0~10年未満10~20年未満20~40年未満40年以上
倒産倍率

1.00倍

0.61倍 0.78倍 1.30倍 2.23倍

4.総評

・本件は、事業環境の変化から買い物客の減少が進んだことで、業績の悪化に歯止めがかからず、倒産に至ったケースである。
・消費者の百貨店離れが進む中、人口減少や都心への人口流出により、さらに買い物客の減少が進んでいるため、百貨店業界の中でも地方百貨店の業況は著しく悪化している。当社においても、仙台市への買い物客流出などから他の地方百貨店以上に厳しい業況にあり、収益を確保できない中で、消費増税による消費の低迷を受け、経営は限界に達したと思料される。
・店舗の閉鎖による固定費の圧縮や事業再生ファンドによる経営再建など、立て直しを模索するも、収益力の回復には至らず、資金繰りは破綻に至った。

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