月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】(株)ひだ高山中央市場

2020年6月 1日更新

1.会社概要、倒産経緯

・1974年設立の高山市公認地方卸売市場の卸売業者。中部地方を中心に、全国の農家などから青果物や水産物を仕入れ、地元のスーパーマーケットや小売店等に販売していた。
・1991/12期にはピークとなる86憶7200万円の売上高を計上していたが、販売先である小売業者の減少や卸売市場を通さない商流の増加により、業績は徐々に悪化していった。
・かかる中、主要産地での天候不順や災害による農作物市況の悪化に伴い、赤字が拡大。過去の設備投資に伴う借入金の返済負担も重く、資金繰りが逼迫し、今回の措置に至った。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
配当自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
借入
依存度
(%)
流動比率
(%)

2018/12

3,284.5

▲ 28.3 ▲ 39.7 ▲ 43.8 ▲ 18.0 3.0 1,010.1 82.5 70.6
2017/12 3,627.1 ▲ 11.3 ▲ 24.3 ▲ 32.0 ▲ 13.1 2.8 1,059.2 78.9 78.9
2016/12 4,099.2 22.5 12.0 ▲ 41.3 ▲ 9.6 2.5 1,106.9 76.0 81.2
2015/12 4,211.1 19.1 13.6 4.6 ▲ 5.4 2.5 1,210.4 71.8 100.2
2014/12 4,264.0 2.6 ▲ 5.2 ▲ 11.6 ▲ 5.8 2.5 1,203.2 72.5 79.3
2013/12 4,235.6 ▲ 2.6 ▲ 5.9 ▲ 23.8 ▲ 4.7 2.5 1,228.4 71.2 81.3
2012/12 4,585.2 ▲ 17.2 ▲ 13.6 ▲ 44.8 ▲ 2.5 2.4 1,353.6 68.9 60.2
2011/12 5,106.1 ▲ 44.1 ▲ 43.6 ▲ 60.2 0.7 2.3 1,470.2 65.4 67.6
2010/12 5,463.3 13.9 2.8 2.1 4.8 2.1 1,490.1 65.0 65.1
2009/12 5,488.3 9.0 2.9 2.1

4.6

2.2 1,479.1 67.9 70.6

コメント

・販売先の減少に伴う業績悪化により、直近では3期連続赤字で最終赤字を計上している。
・近年、債務超過が拡大しており、借入依存度は80%超と財政状態は脆弱な状態である。

3.データの分析

・本ケースを分析する指標として「借入依存度」及び「流動比率」に着目した。
・過去の設備投資により、借入水準が高い状態であった中、業績悪化に伴い運転資金調達においても借入に依存せざるを得ず、借入依存度は上昇の一途にあったものと思料される。債務超過も相俟って、2018/12期には80%を超えており、資金繰りは非常に不安定な状態にあった。
・赤字計上による現預金の流出によって、2018/12期の流動比率は70.6%と業界標準の191.0%を大幅に下回る水準であった。本指標からも当社の短期的な支払能力が乏しい様子がうかがえる。
・下表は、倒産倍率を集計したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であると言えよう。

○卸売業における借入依存度(集計期間:2018/10~2019/9)・・・2018/12期 82.5%
借入依存度全体100%以上80%~100%未満60%~80%未満60%未満
倒産倍率

1.00倍

5.66倍 3.90倍 1.87倍 0.41倍
○卸売業における流動比率(集計期間:2018/10~2019/9)・・・2018/12期 70.6%
流動比率全体100%以上80%~100%未満60%~80%未満60%未満
倒産倍率

1.00倍

0.82倍 1.07倍 2.02倍 3.18倍

4.総評

・本件は、販売先の減少により長期にわたって売上高が減少し、資金繰りが悪化したことで倒産に至ったケースである。
・小売業者間の競争激化による淘汰が進んだことや、市場を介さない直接的な取引の増加による販売先の減少に対して、有効な打開策を見出せず、資金繰りは借入に依存せざるを得ない状態であった。
・過去の設備投資により、借入依存度は恒常的に高い状態であり、債務超過に陥っていたことから、金融機関の支援は得られなかったと思料される。
・財政状態及び借入金の返済能力を把握することで、倒産の兆候を把握することができたと言えよう。

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