月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】(株)ホワイト・ベアーファミリー

2020年8月 1日更新

.会社概要、倒産経緯

・1977年創業の中堅旅行業者。「しろくまツアー」、「ハッピーホリデー」の名称による旅行ツアーの企画販売を中心に、ホテル、レンタカー、EC事業などを関西圏で展開し、2019/3期の売上高は224億円を計上していた。
・かかる中、新型コロナウイルスの感染拡大による渡航制限や外出自粛の影響を主因に売上高が急減し、資金繰りが悪化。金融機関に対する借入金返済猶予を要請するなど経営再建を模索するも、資金繰りが限界に達し民事再生の申請に至った。新型コロナウイルス関連倒産としては、最大の負債額となり、平成以降の旅行業倒産としても最大規模となった。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
配当自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
借入
依存度
(%)
実質自己
資本比率
(%)間

2019/3

22,399.1 879.5 560.8 ▲ 61.8

3.0

10.5 25,632.9 76.2 ▲ 215.3
2018/3 10,725.2 313.0 144.8 30.3 5.1 16.8 17,566.4 85.6 ▲ 77.5
2017/3 15,415.5 150.6 6.7 306.2 8.2 6.1 10,795.7 72.3 ▲ 24.4
2016/3 14,031.8 65.8 52.6 2.2 15.0 1.7 4,344.8 45.7 ▲ 19.1
2015/3 12,692.4 16.7 25.4 ▲ 2.7 22.0 0.7 2,954.6 26.3 ▲ 46.9
2014/3 6,088.2 102.0 110.4 15.3 17.3 0.0 3,787.0 38.2 ▲ 93.6
2013/9 13,653.1 71.4 77.3 27.3 17.2 1.0 3,719.0 31.6 ▲ 80.2
2012/9 13,464.2 151.8 160.2 20.7 17.7 1.3 3,478.6 42.5 ▲ 56.4
2011/9 11,620.6 75.0 79.7 49.7 15.8 1.8 3,805.3 45.9 ▲ 36.8
2010/9 11,557.7 73.0 89.3 57.2

18.0

1.2 2,905.0 38.3 ▲ 63.3

コメント

・2019/3期は、インバウンド客の取り込みなどで過去最高の売上高を計上していた。
・営業利益、経常利益は黒字で推移しているものの、最終利益は低水準かつ不安定に推移している。
・財政面においては、自己資本比率及び借入依存度が要警戒水準で推移し、脆弱な状態であったことがうかがえる。

3.データの分析

・本ケースを分析する指標として「実質自己資本比率」と「借入依存度」に着目した。
・事業規模に比べ十分な利益を確保していないため、内部留保の蓄積に至らず、直近の自己資本は5%未満と危険水準であった。
さらに、不透明な資産を除いた実態財務は大幅な債務超過であるなど、財政面は脆弱な状態であった。
・借入依存度は75%超と、借入に依存した経営であったことがわかる。2019年以降立て続けにホテルを開設しており、ホテル開設のための借入負担が重荷となっていたと思料される。インバウンド需要を見込んで積極的に投資を行ったものの、コロナ禍により業績が急激に悪化、投資に見合った収益は得られず、借入負担が経営を圧迫したと思料される。
下表は、各指標の倒産倍率を示したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であると言えよう。

○サービス業その他における実質自己資本比率(集計期間:2019/4~2020/3)...2019/3期 -215.3%
実質自己資本比率全体マイナス0%~10%10%~30%30%以上
倒産倍率

1.00倍

2.16倍 0.85倍 0.51倍 0.50倍
○サービス業その他における借入依存度(集計期間:2019/4~2020/3)...2019/3期 76.2%
借入依存度全体20%未満20%~40%40%~60%60%以上
倒産倍率

1.00倍

0.57倍 0.55倍 0.74倍 2.11倍

 4.総評

・本件は、脆弱な財政状態の中、外部環境の悪化で資金繰りが逼迫し、金融支援が得られないまま倒産したケースである。
・当社においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響による業績悪化が倒産の引き金となったことは自明であるが、外部環境の悪化に耐えうる財務体力を有していなかったことが倒産の根底原因といえる。
・営業利益、経常利益は黒字で推移しており、一見良好な推移にみられるものの、事業規模に見合った最終利益を確保できておらず、内部留保の蓄積に至っていなったことがわかる。近時の経済状況のように事業活動が停滞した際、脆弱な財務状態では事業を継続することが困難であったと思料される。
・本件は、財務内容から資金繰りを予測し、倒産の予兆を把握することが可能であったといえよう。

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