月次倒産分析レポート

【倒産分析レポート】(株)虎杖東京

2020年9月 1日更新

1.会社概要、倒産経緯

・2002年設立の飲食店。寿司店を中心に日本料理店や焼き肉店など多角化展開により店舗数は39店舗まで拡大していた。また、マスコミに多く取り上げられたことで高い知名度を有し、2018/9期の売上高は45憶円超を計上していた。
・かかる中、一等地への出店による費用負担増加や競合他社との競合激化によって、2019/9期は多額の赤字を計上し、債務超過に転落した。また、2020年3月以降、新型コロナウイルスの影響により事業環境が急速に悪化したことに対して、金融機関に対する借入金返済猶予を要請するも、再建の見通しが立たず、今回の措置に至った。

2.決算データ

決算期売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期利益
(百万円)
配当自己資本
比率(%)
借入
月商比
(ヵ月)
総資産
(百万円)
借入
依存度
(%)
店舗数
(店)

2019/9

3.933.8 ▲ 177.1 ▲ 189.8 ▲ 255.3 ▲ 2.2 8.0 2,924.3 89.4 39
2018/9 4,567.6 30.9 33.9 26.8 6.0 5.9 3,142.3 71.0 39
2017/9 4,277.3 40.8 30.4 ▲ 28.1 5.4 5.2 3,005.3 61.8 39
2016/9 3,907.9 73.8 136.2 74.1 7.3 3.6 2,637.1 44.9 38
2015/9 2,672.5 20.6 18.0 13.9 6.5 3.6 1,793.7 44.4 28
2014/9 1,755.6 130.8 122.8 48.8 10.3 3.2 1,002.5 39.7 21
2013/9 1,111.1 76.9 75.4 2.2 11.6 3.0 471.4 58.3 16
2012/9 706.5 26.0 23.9 4.8 8.6 5.0 382.0 76.6 16
2011/9 607.9 - - 1.0 - - - - 16
2010/9 605.0 - - 1.0

-

- - - 16

コメント

・2014/9期から2018/9期まで店舗数の増加に伴って増収基調で推移していた。
・2018/9期までは営業利益段階で黒字を維持していたものの、2019/9期の赤字計上により、自己資本比率は債務超過に転落、借入依存度は90%近い水準に達し、脆弱な財政状態であった。

3.データの分析

・本ケースを分析する指標として「借入依存度」に着目した。
・多店舗展開により事業拡大を図る一方、出店資金と運転資金を借入金で賄っていたことで、借入依存度は2019/9期において89.4%に達しており、当社の追加の借入余力は乏しく、資金繰りは脆弱な状況であったことがうかがえる。
・2017/9期以降、新規出店が行われない中で、総借入の増加(1,860mil→2,615mil)によって、借入依存度は27.6ポイント増加(61.8%→89.4%)していることから、近年は運転資金調達を借入に依存していたことがうかがえる。
・業績悪化により不採算店舗の閉鎖を進める中、新型コロナウイルスの影響による営業自粛の影響も相俟って、2020年6月には7店舗まで事業規模を縮小したが、事業継続が困難であったと思料される。
・下表は、各データの倒産倍率を集計したものである。この結果からも、当該指標が倒産分析に有効であると言えよう。

○飲食業における借入依存度(集計期間:2019/4~2020/3)...2019/9期 89.4%
借入依存度全体20%未満20%~50%未満50%~80%未満80%以上
倒産倍率

1.00倍

0.56倍 0.70倍 1.62倍 3.88倍


4.総評

・追加借入が困難な中、新型コロナウイルスによる営業自粛の影響により、資金繰りが限界に達し、倒産に至ったケースである。
・借入に依存した経営により、財政状態は脆弱な状態である中、急激な事業環境の悪化により、資金繰りが逼迫するも、追加の借入余力は乏しく、資金調達ができない状況であったと思料される。
・財政状態が脆弱で借入に依存した経営を行っている企業においては、経営環境の急激な悪化が倒産への引き金となるため、財務内容から資金繰りを予測し、倒産の予兆を把握することが可能であったと言えよう。

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